増える子どもの食物アレルギー アナフィラキシー発生が9年で5倍増!
2012(平成24)年12月に、東京都調布市立の小学校で学校給食を食べた女児が、急性アレルギー反応の「アナフィラキシーショック」で死亡した事件を覚えているかたも多いだろう。何らかのアレルギーがある子どもを持つ保護者にとっては、決して他人事ではない。実際に、食物アレルギーがある子どもはどれくらいいるのだろうか。最新の調査結果をもとに、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。
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文部科学省は、小学校から高校までのすべての公立学校を対象に、食物アレルギーなどの実態について調査をしました。2013(平成25)年8月現在で、乳製品やソバなど何らかの食物アレルギーがある子どもの割合は、小学校が4.5%、中学校が4.8%、高校が4.0%となっています。
2004(同16)年に実施された同様の調査の結果と比較すると、食物アレルギーのある子どもの子ども全体に占める割合は、2.6%から4.5%へと1.7倍も跳ね上がっています。さらに、調査対象となった子どもの全体数を同一と仮定して計算をし直すと、9年の間に食物アレルギーがある子どもの数は37.8%も増えた計算になります。
アレルギー反応による呼吸困難など、「アナフィラキシー」症状を引き起こしたことがある子どもは全体の0.5%。2004(同16)年の調査では0.14%でしたから、約5倍も増えています。より重篤な「アナフィラキシーショック」に進行すれば死に至ることもあるのは、調布市の事件が示しており、アナフィラキシー発生の割合が増加している事実は見過ごせません。
アナフィラキシーの際に使用する、自己注射薬「エピペン(R)」を保持している子どもは全体の0.3%。保護者から医師の診断書などの提出が学校にあった割合は、食物アレルギーのある子どもの21.4%で、これはアナフィラキシーを起こした子どもの37.1%、「エピペン(R)」保持者の子どもの30.8%に過ぎません。アレルギーについては、学校関係者と同時に保護者などの意識の向上も望まれます。