心身症 小学生に多い症状と対策

ストレスが原因で体に不調をきたすことがあります。特に原因になりやすいのは、進学や進級など環境の大きな変化なのだとか。小学生によく見られる症状と対策について小児科医の山根知英子先生に伺いました。



幼児期から学童期にかけて出やすいチック

チックとは、(特殊なものを除く)一種の癖のようなものです。心と体の成長・発達の過程で多くの子どもに見られ、特に幼児期から学童期に出やすいものです。
チックには、特定の部位が突発的に自分の意思とは関係なく急速に繰り返し動く「運動性チック」と「音声チック」があります。運動性チックは、急速に首を振る、肩をすくめる、しかめ顔をするなどがあります。音声チックには咳払い、鼻をすする、舌打ちなどがあります。なんらかのストレスが引き金になることが多く、めずらしい症状ではありません。5%くらいの子どもに見られ、男子に多い傾向があります。
単純なチックの場合、生活に支障をきたすこともないので本人は気にしていないことがほとんど。むしろ気にしているのは親や担任の先生など周囲の大人のほうでしょう。たいていは放っておくと2~3か月で治るので、おおらかに見守って。「またやってる!」「やめさない!」など周囲が神経質になると、チックを長引かせることもあります。


このような場合はトゥレット症候群かも……
複数の運動性チックに音声チックが合併した障害を「トゥレット症候群」と言います。複雑な運動性チックとしては、体を大きく動かすようなチック(飛び跳ねる、体をこぶしでたたくなど)。複雑な音声チックとしては、汚い言葉を吐く、人の言葉をおうむ返しに言う、などが見られることもあります。
一般的なチックは原則として薬物治療は必要ありませんが、トゥレット症候群の場合は向精神薬などの薬を併用します。一般的なチックよりも治りにくく、青年期に軽症化することもありますが、成人期まで持続することがあります。

過保護や過干渉だったりしませんか?

チックが見られたら、症状を止めようとするのではなく、子どもの緊張を解きほぐすように心掛けたほうがよいでしょう。そのためには親自身が子どもの一挙一動に過敏に反応していないか振り返ってみることも大切。子どもは「失敗する権利」があります。失敗を乗り越えてこそ、強くたくましくなれます。困難も時の経過が解決してくれることを信じて、優しく見守っていきましょう。



頻尿はまず小児科を受診して

精神的ストレスが原因でトイレが近くなることもあります。しかし頻尿は尿路感染症などの病気が原因の場合もあるので、まずは小児科を受診しましょう。
心理的な問題で頻尿になっている場合もあるので、排尿を我慢するのはよくありません。担任の先生には子どもの状態を伝えておくとよいでしょう。そして本人には「授業中でもトイレに行きたくなったら、先生に言っていいんだよ」と話し、安心させてあげましょう。


便秘がひどくなり、トイレ以外で排便する遺糞症
4歳過ぎても下着の中やトイレ以外で排便する行為を繰り返すことを「遺糞症」と言います。原因となる病気がある場合もあるので、まずは小児科で検査が必要です。すっかり排便してしまったり、下着が便で汚れるくらいだったり、程度はさまざま。このような状態になるのは、便秘の状態が長く続き、硬い便が直腸に停滞し、排便時に痛みを感じてトイレに行くのを怖がったり、学校でのトイレは恥ずかしくて排便を我慢したりした結果、便秘がひどくなり、直腸が拡がって便意の知覚が鈍くなり、ちょっとずつ便が漏れ出るからです。
治療は病院で腸にたまった大量の便を少しずつ洗い流し、便秘に対して下剤を使ってコントロールします。家庭では、排便への不安を取り除き、規則正しい生活、バランスのとれた食事、決まった時間に排便する習慣をつけるなどが大切です。

プロフィール



JR東京総合病院小児科部長、きよせの森総合病院小児科勤務を経て、現在は東京都江東区にある心療内科の病院・くじらホスピタル勤務。JR東京総合病院非常勤医師。専門は児童の心身症、思春期の問題。共著『ママが安心する子育て医学事典』(講談社)。

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