算数教育のプロが語る「上手なかけ算九九の学習法」とは

3年生以降も九九を間違えてしまうお子さまへのアドバイス

2年生で一気に覚えてしまう「かけ算九九」は、3年生の夏休み頃まで暗記が安定していないのはよくあること。
肝心なのは、あやふやな部分をそのままにせず「どの段のどの計算で間違いが多いのか」を突きとめて修正しておくことです。たとえば、2の段や3の段でまちがえる子はほとんどいません。間違いやすいのは7の段や8の段なのです。

まちがえてしまったとき、「81個の九九を全部覚えなおす」のでは、子どもはますます九九を嫌いになってしまいます。それよりも「どの段が苦手かな? この段だけやればいいんだよ」と子どもの気持ちを軽くすることで、ハードルを下げてあげましょう。

また、あやふやに九九を覚えている子は、「九九のきまりを理解せずに丸暗記している」傾向があります。たとえば「7の段は、7の数ずつ増えていく」というきまりを理解している子は、たとえ「7×6」の答えを忘れてしまっても「7×5=35に7を足せばいいんだ」と考えて、答えを導き出せます。また「6×4」の答えを忘れたときには、ひっくり返しても同じ答えになるというきまりを理解していれば「4×6=24」だから「6×4=24」と考えることができるのです。単に丸暗記をするのではなく、かけ算九九を支えている「きまり」を使えることも大切です。



これから九九を習い始める1・2年生へのアドバイス

わたしがおすすめするのは「声を出しながら、手で書いて覚えること」です。
記憶の定着に有効なのは「五感を使って覚えること」。これは何かというと、「視覚」「聴覚」「触覚」をフルに活用して覚えると、頭に染み込みやすくなるということです。
たとえば、単に目で見ただけの商品名よりも、印象的なビジュアルとともに、テレビから音楽に乗って流れてくる商品名のほうが記憶に残りやすいのと同じです。
「嗅覚」や「味覚」を使うことはできませんが(笑)、初めは九九の式と答えを口に出して言いながら書いて覚えていくようにする。慣れてきたら書くことをやめ、大きな声を出しながら覚えていくと、暗記をより確実なものにできるのです。口に出すとよい点は、おうちのかたが間違いにその場で気付いてあげられることですね。「まちがってるでしょ!」ではなく、「あれ?」と言ってあげるだけでも、子どもは間違いを指摘されたことに気が付くものです。

とはいえ、どんな教材や、どんなやり方で九九を覚えたとしても「くり返し練習すること」に勝るものはありません。あせらずじっくり、根気よくお子さまの九九学習に付き合ってあげてください。



プロフィール



公立小学校校長、東京都算数教育研究会会長などを経て、現在は株式会社ベネッセコーポレーションの「ベネッセ教育総合研究所」顧問を務める。

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