朝の登校前にかけたい 子どもが元気になる言葉

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朝は大事な一日の始まりです。どのおうちのかたも、「笑顔で気持ちよく子どもを送り出したい」というお気持ちだと思います。ところが、現実にはなかなか思うようにいかない……ついつい「早く!」「忘れ物はない?」などの言葉が先行してしまい、慌ただしく送り出してしまうこともあるのではないでしょうか。
子どもが、元気に登校できるような言葉かけとは、いったいどのようなものでしょう。

(赤ペン先生 吉田)

この記事のポイント

① 気持ちが楽になる言葉

この記事を書くに当たって、自分が小学生のころは、どんなふうに見送られていたか、遠い記憶をたどってみました。思い出したのは、祖母の言葉です。毎日、「行ってらっしゃい。はよ帰っておいで」と言ってくれていました(「はよ」は、方言で「早く」の意味)。

私は、学校がそんなに好きではなかったので、「はよ帰っておいで」と言われると、どこかほっとし、「早く行って早く帰ってこよう」と、気持ちが楽になったような記憶があります。

後に知ったのですが、「はよ帰っておいで」には、「待っているから無事に帰っておいで」という意味もあったようです。
何気ない言葉に込められた温かさは、自分の帰りを待ってくれている人がいるという安心感となって、学校へ行く私の背中を押していたのだと思います。

② 笑顔の「行ってらっしゃい!」

次に記憶としてよみがえってきたのは、近所の二人の年配のかたの笑顔です。私は、挨拶が苦手だったので、聞こえるか聞こえないかわからないような声で「おはようございます」と言っていました。

でも、お二人とも、いつも、何かいいことでもあったかのような満面の笑みで「行ってらっしゃい」と言ってくださいました。うん十年経った今でも、鮮明にそのお顔を思い出せるので、きっと、あの笑顔に元気付けられていたに違いありません。

そして、今になり、あの満面の笑みの《謎》が解けました。私も今、登校している小学生の姿を見るだけで、ほほえましい気持ちになり、自然に笑みがこぼれます。しかしながら、自分が子育てをしていたときは、そんなふうに思う余裕はありませんでした。朝は時間との戦いで、バタバタと子どもを送り出すことが多かったと思います。反省しきりです。

③ 楽しみを持たせ、応援する気持ちを伝える

うちの上の子は、朝の遊び時間にサッカーをしたくて、早く学校に行っている時期がありました。遊びが目的でも、自主的に早起きして学校へ行ってくれるのは、親としては、とてもありがたいことでした。「偉いね!」「楽しそうだね!」「楽しんでおいで!」などと声をかけると、とても喜び、張り切って登校していました。

逆に下の子は、朝寝坊でのんびりしていたので、支度に時間がかかることが多々ありました。でも、食べることと縄跳びが好きだったので、「今日の給食は好きなメニューだよ」「帰ったら好きなおやつがあるよ」「今日は、縄跳びをするんでしょ。いいね!」などと言うと、エンジンがかかり、機嫌よく登校しました。

些細(ささい)なことでも、何かいいことがこの先待っている、楽しみがあると思えると、大人でも元気が出ます。希望を持たせるというと大げさですが、子どもに楽しみを持たせ、それを盛り上げたり、応援したりするような言葉をかけると、子どもは乗ってきます。おうちのかたの応援や共感は子どもにとって、百人力です。

まとめ & 実践 TIPS

玄関の扉がガチャッと開き、「行ってきます!」「行ってらっしゃい。気を付けてね」と明るい声がしました。子どもは、何度も何度も振り返り、「行ってきまあす!」と言いながら手を振っています。おうちのかたも、手を振る子どもに「行ってらっしゃい!」と何度も応え、子どもが角を曲がって、その姿が見えなくなるまで、ずうっと、手を振り続けて見送っていました。これは、私が遭遇したある朝の光景です。

忙しい朝ですが、ほんの数十秒でも、その瞬間だけは、100パーセント子どもに心を向け、気持ちを込めた「行ってらっしゃい!」を言うだけでも、きっと子どもは、おうちのかたの愛情を受け取り、元気いっぱいにその一歩を踏み出すことができるでしょう。

吉田かさね

吉田かさね

「赤ペン先生」歴26年。3年生担当
高校生の時、「進研ゼミ」を受講していて、「赤ペン先生」の文字の美しさ、丁寧さ、優しさにふれ、自分もこんなふうにできたらよいなと思い、「赤ペン」の道へ。日々「『赤ペン』って楽しい!」「次もがんばろう!」と思えるような声かけ・指導を心がけている。
また、続けることで、力がついたと実感でき、自信を持ってもらえることが一番の励み。
趣味:読書・舞台鑑賞
自己紹介:ケセラセラ(なるようになる!)
1男1女の母。

プロフィール



赤ペン先生は「進研ゼミ」の選考に合格し、ゼミ独自の研修・教育を通じて、教科の学習内容やお子さまの力を伸ばす指導法などを学んだ人です。 お子さま一人ひとりの解答状況や学習の到達度に合わせて、丁寧に添削・指導いたします。 ※「赤ペン先生」は(株)ベネッセコーポレーションの登録商標です。

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