我が子が「協調性がない」と言われたら…親はどうしたらいい?

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学校の先生や子どもの友達から、我が子が「協調性がない」と言われたら……?
親として、どのように受け止めて、子どもの行動や言動にアドバイスすればよいのでしょうか。
公認心理師・臨床心理士で、「子どもの協調性」について研究している文教大学の名尾典子先生に、お話を伺いました。

この記事のポイント

【保護者のかたのお悩み】
Q.子どもが友達から「協調性がない」と言われたそうです。元々ひとりで遊ぶのが好きだったり、周りの空気を読まずに発言したり、他人の話をあまり聞いていないようなところはあったのですが……。
友達関係を良くするために、子どもにどのようにアドバイスすればよいでしょうか?

周りの目を気にしすぎないで
その子の個性であることも

名尾先生:子ども一人ひとりの発達の道筋はそれぞれ違いますから、あまり気にしすぎないでいいと思います。子どもの得意、不得意もありますし、特に空気を読むのが苦手で、ひとりで何かをすることを好む子どもの場合、「協調性がない」と、周りに言われてしまうことがあります。
 しかし、それはある意味、子どもの個性です。
 周りの目を気にしすぎて、おうちのかたが「飛び出たことはしないように」とか、「思ったことをすぐに口に出さないように」と言って、またひとりで行動することはわがままだと抑え込むと、協調性の一面である、「協調的問題解決」の芽も摘んでしまうことになります。

「協調性がない」と言われたらチャンス

 「協調的問題解決」とは、問題解決のために必要な「協調性」の一面であり、グローバル化・多様化が進む現代社会では、今後特に求められていく力です。
 具体的には、自分と相手との意見が違った時に、相手が納得できるように説明する、お互いが歩み寄れるような話し合いをするといった、協調性の一面です。
 「協調性がないと言われたから、自分の意見を言わずに周囲に同調する」ということよりも、どうすればその友達との問題を解決できるのか。それを考える体験を通して、「協調的問題解決」の力は伸ばしていくことができます。「協調性がない」と言われたら、「協調的問題解決力」を伸ばすチャンスなのです。

まずは子どもに寄り添って
傾聴することが大事

 おうちのかたには、お子さんが「協調性がない」と言われたり、友達と意見が合わずにトラブルになってしまったり、集団からはずれてしまった時には、我が子の言い分をまずは聞いてもらいたいと思います。
 具体的には、「なぜ、そういうことを言ったのかな?」「なぜこうしようと思ったのかな?」と聞いてみるといいと思います。
 ここで大切なことは、親として子どもの気持ちを大事にするということです。たとえ今、友達から「協調性がない」と言われたとしても、親にきちんと話を聞いてもらって、気持ちを受け止めてもらった経験を繰り返している子どもは、ある程度の年齢になった時に、人の話が聞けるようになることも多いのです。
 おうちのかたは「本当に協調性がないね!」と怒るのではなく、子どもの気持ちを聞くこと。それでもなかなか改善しない場合は、「これはよくなかったみたい。周りの人は君が話を聞いてくれなかったことで、困ったみたいだよ」と、一緒に他の人の気持ちを考えてみるといいと思います。

 「相手の気持ちはどうだったのかな?」「どうすればよかったかな?」と問いかけ、子ども自身が考えることで、「協力的問題解決」の力が伸びていきます。

発達障害の可能性を感じたら
早めに専門機関に相談して

 またもう一つの側面として、「友達となかなかうまくいかない」「協調性がないと言われる」といったお子さんの中には、発達障害の傾向がある場合があります。
 そういった傾向がある場合は、親子で考えていくだけでは、どうしても難しい側面があります。学校の先生でも、そういう子どもに対して、あまり知識や関わりの経験が少ない先生だと、子どもに「悪い子」のレッテルを貼ってしまい、余計集団からはずれてしまう……ということにもなりかねません。

 心あたりがある場合は、専門機関にも相談しつつ、学校の先生にも相談して、その子の特性を踏まえたうえでの関わり方を考えることが必要です。
 発達障害は、おうちのかたでも気付けない場合があります。親は基本的に自分の子どもだけを育てていますし、専門知識がないので、わからなかったというケースです。年中さんぐらいになって、周りの子と比べてちょっとした違和感を覚える、心配事があるなどといった場合は、園や学校からのアドバイスを踏まえつつ、専門の相談機関や医療機関に行ってみることをおすすめします。
 多様性の面からいっても、そういう子どもだから、「協調性がない」と言われることは、かわいそうですし、一人ひとりの違いを認め合い、みんなで理解を深めていくことが大事だと思います。

まとめ & 実践 TIPS

「協調性」がないと言われても、心配しすぎずに、子どもの話をよく聞き、まずは受け止めることが大事だとわかりました。また、発達障害の可能性が考えられる場合は、早めに専門の相談機関、医療機関に行くことで、子どもの特性を踏まえたうえでの関わり方ができそうです。

プロフィール

名尾 典子

名尾 典子

文教大学 人間科学部 准教授
臨床心理士として主に子どもの心理臨床現場での経験を積んだ後、文教大学人間科学部臨床心理学科講師を経て現職。専門分野は発達臨床心理学。現在は大学で教鞭を執る傍ら、子どもの協調性の発達について研究。保育園での巡回相談も行っている。公認心理師。

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