我が子が問題行動を起こしたらどうする?家庭のあり方と親子関係を見直してみよう

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自分の子どもが「友達を仲間はずれにしている」「悪口を言いふらしている」など、学校や相手の保護者から言われた時、親はどのように対処すればよいのでしょうか。
子育て心理学が専門の佐藤めぐみ先生に、子どもが問題行動(仲間はずれ、悪口を言うなど)を起こしてしまった時の親の心構えと、対処法についてお話を伺いました。

この記事のポイント

まずはフェアに受け止めて状況を冷静に確認

 自分の子どもが学校で問題行動を起こしてしまった時、おうちのかたも動揺してしまうと思いますが、まずはフェアに状況を受け止めて、判断することが大事です。
 フェアであるということは、自分側に「からすぎる」対応でも、「あますぎる」対応でもダメということです。

 からすぎる対応とは、学校や相手方から何か言われた時に、我が子の話を聞かずに、叱りつけたり、一方的に責めたりすることです。これは絶対にやめたほうがいいです。
 なぜなら、もしかしたらケンカのきっかけは向こうにあり、うっかり手が出てしまったのかもしれないですし、今まで散々意地悪なことをされたあとのことかもしれません。
 人と人との関係は、一方向では見えにくいので、言い訳を聞くだけになるかもしれませんが、お子さんの話をまずは聞いてあげること。おうちのかたは、状況を正確に確認することが大事です。その時にお子さんが話しづらいようであれば、「どうして仲間はずれをしたの?」「どうして手を出したの?」と静かに聞いてあげるとよいと思います。

 あますぎる対応とは、子ども同士のことだから、「お互い様だよね」と安易に判断することです。
 自分が被害を受ける立場になった時に、やられたことに耐えられるだろうかということを、判断基準の一つにしてもよいと思います。ただし、受け止め方には個人差があるので、相手方の気持ちもしっかりくみ取る意識は必要でしょう。
 また、家庭できちんと友達付き合いのルールやマナーを教えずに、学校で学ぶだろうと学校現場に丸投げすることは、家庭で学んできた子どもたちの迷惑になるので、きちんと家庭で教えるべきことは教えてきたかという自問は、どこの家庭でも必要です。

問題行動の原因が“2つ”の学習体験にあることも

 問題行動を起こしてしまう理由や背景には、子どもが問題行動を起こすまでに、2つのことを学習している可能性があります。

 1つ目は、強い力で友達に圧力をかけることで、「みんなが自分の言うことを聞く」「自分の思い通りになる」「注目を浴びられる」など。そういった経験があると、繰り返し友達に強く出ることがあります。

 2つ目は、家庭の中で同じようなことが、本人、もしくは家族間で起きているケースです。親が人の悪口ばかり言っていると、子どもも悪口ばかり言ってしまうということもありますし、両親間の激しい口論や攻撃性が高い内容のメディアにさらされることで、相手を攻撃することへのハードルが低くなり、友達に手が出やすくなるということもあるでしょう。
 親がお仕置きで部屋に子どもを閉じ込めるという場合も、「嫌なことがあったら排除する」ということを学習して、仲間はずれをすることに躊躇がなくなる可能性もあります。

問題行動が起きた後の3つの対処法

 問題行動は、できればないほうが望ましいものです。ここでは、起きてしまったあとの問題行動の対処法についてお話しします。私が考える対処法は、3つあります。

 1つ目は、「意地悪してはダメ」と、言葉で注意するだけでなく、人との関わり方の基本を親が示していくということです。これはすごく大事なことで、家庭の中でもその子に対して意地悪な対応をしない、親がその子を力で抑え込まないなど、気を付けましょう。
 親子関係が友達関係にそのまま反映されることがあるということを、親も意識する必要があります。また力で抑え込まれている子どもの家庭の中は、温かみに欠けてしまう場合が多いです。そういう意味でも、家庭の在り方を考え、家庭を子どもが和む場所、安全基地に変えていく必要があります。ざわざわした気持ちのまま学校に通うと、その不安定な気持ちが問題行動へのリスクを高めてしまいます。

 2つ目は、脅すような形の声かけをしないようにすることです。親は子どもが何か悪いことをした時や、これからしようとしている時、「○○したら痛い目に合うよ」と脅すような形でそれを阻止しようとすることがあります。しかしそれで素直に聞き入れることは非常に少なく、むしろ反抗されて改悪してしまうことさえあります。
 今回の例でいえば、「今度学校で問題を起こしたら、ただでは済まないからね」といったことです。人間は自分が取る行動のデメリットを聞くよりは、メリットを聞いたほうが、気持ちよくモチベーションを注げるものですし、脅し文句が家庭で習慣になっていれば、それもお友達に使うようになってしまいます。
 日ごろから、「○○したら、あとでたくさん遊べるよ」「学校がもっと楽しくなるよ」というように、よりよい行動を取った時に得られるメリットを子どもに伝え、行動改善が前向きに進みやすくなる工夫をしてみてください。

 3つ目は競う遊びばかりではなく、協調する体験ができる遊びを取り入れていくことです。ゲームといえばバトル系が多く、テニスや卓球などのスポーツでも、相手に勝つことがゲームの基本です。それも大事なことですが、「何回相手とラリーを続けられるか」というように、相手との協力でどれだけできるかということを大事にする体験も必要です。おうちのかたとお子さんが協力して、積み木をできるだけ高く積み上げるゲームでもいいですね。
 お互いをライバルとしない遊びを時には行うことで、協調性が育まれ、結果的に攻撃性が緩和されやすくなります。他人と協力して何かをやり遂げる体験や1つのものを複数人で作る体験(お菓子作りなど)も、積極的に取り入れることをオススメします。

問題行動が起きた後の3つの対処法

  • 1 人との関わり方の基本を親が示していく
  • 2 よりよい行動を取った時に得られるメリットを伝える
  • 3 協調する体験ができる遊びを取り入れていく

まとめ & 実践 TIPS

子どもが問題行動を起こした時は、親としてもつらいですが、状況を冷静に判断し、子どものために今からできることは何だろうと考え、家庭の在り方や親子関係を見直すきっかけにし、また友達付き合いのルールやマナーをきちんと家庭で教えていたかを確認することも大切です。

プロフィール


佐藤めぐみ

公認心理師|オンライン育児相談室・ポジカフェを運営。専門は0~10歳のお子さまをもつご家庭向けの行動改善プログラム、育児ストレスのカウンセリング。英・レスター大学大学院修士号取得。書籍、メディアへの寄稿や監修も多数。

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