2014/06/06
[第2回] ICTを活用している教員/未活用の教員 [1/3]
浜島 幸司●はまじま こうじ
同志社大学 学習支援・教育開発センター 准教授
上智大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得満期退学。修士(社会学)。新潟大学 教育・学生支援機構学生支援センター特任准教授、立教大学 大学教育開発・支援センター学術調査員を経て現職。専門は社会学、生徒・学生・青年文化研究究、学生支援論。大学生の調査データをもとに、近年の大学の「学校化」、学生の「生徒化」について研究している。主要業績に、「大学生活満足度」『キャンパスライフの今』(武内清編,2003年,玉川大学出版部)、「若者の道徳意識は衰退したのか」『検証・若者の変貌——失われた10年の後に——』(浅野智彦編,2006年,勁草書房)、「学生支援に必要な条件」『学生支援に求められる条件——学生支援GPの実践と新しい学びのかたち——』(大島勇人・浜島幸司・清野雄多著,2013年,東信堂)等がある。他にも、Benesseによる『モノグラフ高校生』、『子ども生活実態基本調査(第1回・第2回)』への企画メンバー参加、データ分析、報告書執筆経験がある。
上智大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得満期退学。修士(社会学)。新潟大学 教育・学生支援機構学生支援センター特任准教授、立教大学 大学教育開発・支援センター学術調査員を経て現職。専門は社会学、生徒・学生・青年文化研究究、学生支援論。大学生の調査データをもとに、近年の大学の「学校化」、学生の「生徒化」について研究している。主要業績に、「大学生活満足度」『キャンパスライフの今』(武内清編,2003年,玉川大学出版部)、「若者の道徳意識は衰退したのか」『検証・若者の変貌——失われた10年の後に——』(浅野智彦編,2006年,勁草書房)、「学生支援に必要な条件」『学生支援に求められる条件——学生支援GPの実践と新しい学びのかたち——』(大島勇人・浜島幸司・清野雄多著,2013年,東信堂)等がある。他にも、Benesseによる『モノグラフ高校生』、『子ども生活実態基本調査(第1回・第2回)』への企画メンバー参加、データ分析、報告書執筆経験がある。
はじめに
今回のテーマは、教員のICTへの関わり方について、調査結果からみていくことである。「ICT活用度」という点から、教員のICTへの関わり方をみていくことにしたい。現在、ICTを活用している教員の特徴について、あまり活用していない(=未活用)教員との比較を中心に明らかにしてみたい。最後に、調査結果を踏まえ、今後の活用に向けて何が必要なのか、私見を述べる。
今回、分析したデータは、2013年10月に、全国の小・中学校の教員を対象とした「ICTを活用した学びのあり方に関する調査」である(注1)。
注1)報告書では、項目によって「一般校」と「実践校」を分けて分析しているが、今回は両校を含めたデータとして再分析した。
ICT活用度:3区分
ICTを活用して現在取り組んでいること(全19項目)について、各回答を得点化した。その合計得点を3つの区分(「高活用(35-76点)」「中活用(27-34点)」「低活用(19-26点)」)に分けたものが、ICT活用度である(注2)。報告書では「高活用」「低活用」の比較がなされていたが、今回は「中活用」も含めて、報告する。
注2)詳細は、報告書5ページを参照。
基本属性とICT活用度
まずは、教員の基本属性別に3つの区分の構成割合をみてみよう。図1が、小学校、中学校それぞれの性別、年齢別、役職の有無別、担任学年の有無別の結果である。要約すると、小学校に「高活用」の教員が多く、中学校に「低活用」の教員が多い。男性に「高活用」の教員が多く、女性に「低活用」の教員が多い。30代・40代に「高活用」の教員が多く、20代・50代に「低活用」の教員が多い。役職者に「高活用」の教員が多く、役職のない者に「低活用」の教員が多い。担任学年が高学年になると「高活用」の教員が多く、低学年では「低活用」の教員が多い。教員の属性によって、ICTへの関わり方が異なっていることがわかる。
図1 小中学校別 属性別 ICT活用区分構成割合(一般校+実践校)
ICT活用区分別に校内でのPC使用時間(一日の平均)をみたものが、図2である。小学校、中学校ともに、「低活用」の教員の使用時間が短く、「高活用」の教員が長い。PC使用時間とICT活用度のどちらが先なのか因果関係は不明であるが、相互に関係があることがわかる。
図2 小中学校別 活用区分別 校内でのPC使用頻度[1日の平均](一般校+実践校)
ICT活用区分別に授業への取り組み年数をみたものが、図3である(注3)。「低活用」の教員は「分からない」もしくは「まだ取り組んでいない」という回答が多く、授業にICTを活かす機会は低い。一方、「高活用」の教員は「2年~3年未満」「3年~5年未満」「5年以上」という回答が多い。ICTを活用していくためには、教員が時間をかけて取り組む必要がある。
図3 小中学校別 活用区分別 ICT活用取り組み実施年数(一般校+実践校)
注3)「分からない」は図から省略した。