発達障害と診断されたら 小学校は「特別支援学級」と「通常学級」どちらへ進むべき? 専門家アドバイス

この春小学校入学を控え、発達障害のお子さまの保護者の中には、「特別支援学級を勧められた」「通常学級に進んでよいのか迷っている」と悩まれている方がいらっしゃると思います。なかなか人には相談しづらく、おひとりで苦労されている保護者さまも多いのではないでしょうか。そこで、特別支援教育の第一人者である小池敏英先生 (尚絅学院大学教授)に、特別支援学級に進むべきかを迷われている方のためにお話を伺いました。

※本記事では、一般的な見解をご紹介しています。特別支援学級への進学は、お子さまの発達状況や、学習レベル、地域や学校によって選択肢がさまざまですので、詳しくはお子さまの進学される学校にご確認ください。

この記事のポイント

——発達障害のお子さまが通う特別支援学級とはどのような所でしょうか?

「特別支援学級」は、学習や生活に困難を抱えているお子さまのための学級ですが、『その子自身の「個」の力が発揮できる場所』を目指しています。通常学級では一斉に授業が進んでいきますが、特別支援学級ではお子さま一人一人の状況や習熟度に合わせた計画を立てますので、その点が大きく違っています。

特にコミュニケーションが難しいお子さまや、要求をうまく伝えられないお子さまの場合は、先生が個別に向き合って対応してくれるので、過ごしやすい環境だと言えるでしょう。

——発達障害のお子さまが通常学級に進むと、どのようなことが考えられますか?

お子さまの発達状況やクラスの状況によってさまざまなケースが考えられますので、必ずしもお子さまが苦労するとは言い切れません。通常学級でも、障害のあるお子さまの個々の状況に配慮しながら、通常の教育課程に基づく指導を行っているところもあります。

ただし通常学級では“平均的な6歳児”の発達に合わせた学習計画や教科書設計がなされているのが基本です。そのため入学時点で、<耳で聞いた言葉を覚えることができる><言葉の1文字1文字を理解できる>前提として、学習が進められます。(なおこの場合、読めるかどうかはさほど重要ではありません。)

ですから、それらが困難なお子さまの場合は、学習が進むにつれ、ついていくのが負担になってしまう可能性はあります。

——特別支援学級に進学させたくない、という保護者さまもいらっしゃると思います。

確かに、特別支援学級に対して抵抗感を抱いている保護者さまは少なくありません。発達障害の状況は人によってさまざまですし、保護者さまの考えも尊重すべきですから、一概にこれが正しいということは言えません。

もし特別支援学級への進学に抵抗をおもちなら、「いつかは特別支援学級も…」と念頭に置きながら、まずは通常学級から始めてみてもよいのではないでしょうか。低学年のうちは中学年以降よりは学習に差が出づらいので、まずはお子さまの様子を見て選択肢を変えていくのも手です。

文部科学省でも、インクルーシブ教育システム(※)を推進しています。科目によっては特別支援学級と通常学級を行ききしたり、やはり特別支援学級の方がお子さまに合っていると判断したらそのタイミングで移動をしたりと、柔軟な対応が可能な場合があります。

これに関しては、地域や学校によって方針が異なりますので、お子さまの学校に確認してみるとよいでしょう。

※参照:
障害者権利条約によれば、インクルーシブ教育システムとは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な機能等を最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が一般的な教育制度から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。(文部科学省:中教審初中分科会報告平成24年7月より)

——特別支援学級に進むメリットはありますか?

特別支援学級では、「失敗経験をなるべく減らし、成功体験を多く積ませる」という環境づくりをしています。ですので、日々の活動が自信につながっていくという良さがあります。

また、療育に通っていたお子さまの場合は、療育時代の情報を連携してもらえることもありますので、比較的スムーズに移行することができるでしょう。

そのほかにも、特別支援学級というひとつのコミュニティができますので、お子さまにとっては卒業後の仲間ができる、保護者さまにとっては情報交換しやすいネットワークができる、といったメリットがあります。先の話になりますが、高等学校卒業後には就労支援を受けることもできます。

まとめ & 実践 TIPS

お子さまの発達状況や保護者さまの考えがありますので、必ずしも特別支援学級に進むべきということはないようです。ただし、通常学級ではお子さまが負担を感じる可能性もありますので、じっくり様子をみてあげるのがよさそうです。

また、もしお住まいの地域や学校に相談できる専門家がいる場合は、どのような選択肢があるのかアドバイスを受けてみるのもよいのではないでしょうか。どの道を進んだとしても、お子さまと保護者さまが一緒に「居心地よくいられる場所」を見つけられることを願っています。

プロフィール

小池敏英(こいけ としひで)

尚絅学院大学 教授 東京学芸大学大学院 教育学研究科修士課程、東北大学教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。東京学芸大学教育学部 教授を経て2019年4月より現職。
研究課題は「学習障害児の認知評価と学習支援、発達障害児のコミュニケーション支援」著書に『LDの子の読み書き支援がわかる本』(2016)講談社、『読解力を育む発達支援教材』(2010)(監修 学研教育みらい)、『LD児のためのひらがな・漢字支援』(2003) (編 あいり出版)など。

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