子どもがよく小さいウソをつく?! その原因は親とのやりとりかもしれません [スーパー保育士のお悩み相談]
- 育児・子育て
お子さまがウソをついていることが、園の先生や、お友だちの保護者のかたの話から判明したら、保護者のかたは驚いたり、「どうして?」と悩んだりしてしまうのではないでしょうか。
お子さまは、なぜウソをついてしまうのでしょうか? また、保護者がどうすれば、お子さまはウソをつかなくなるのでしょうか?
「スーパー保育士」と呼ばれ、現在は子育てに関する研究・執筆・講演活動を行っている原坂一郎さんがアドバイスします。
子どもがウソをつく理由
「子どもはウソをつかない」とよく言われます。
そんなことはありません。
子どももウソをつきます。
3歳の子どもでもウソをつきます。
どうしてウソをつくかというと、理由はふたつあります。
- 1、ウソをついたらうまくいった経験がある
- 2、本当のことを言ったら叱られた経験がある
1は、たとえば何かを配られたとき、本当はもらったのに「もらっていない」とウソをついたらもうひとつもらえたとか、本当は自分が破ったのに「破っていない」と言ったら叱られなかった、などの経験がある子どもです。ウソのおいしさを何度か味わった子どもは、ウソをつきやすくなります。
でも、子どもがウソをつくようになる原因で一番多いのが2です。
たとえば、散歩中に「寒い」と言っただけで「おへそを出しているからでしょ!」と叱られ、「おなかが痛い」と言うと「あんなにたくさん食べるからでしょ」と言われたりした子どもは、ウソをつきやすくなります。
子どもは「寒い」「おなかが痛い」と、“本当のこと”を言っただけで叱られたことになり、もう“本当のこと”を言うのがこわくなるのです。
おなかが痛いと言って叱られた子どもはそのあとは、「おなかが痛いの?」と聞かれたとき、本当は痛くても「痛くない」とウソを言ったりします。「痛い」と本当のことを言えば怒られると思うからです。
「10円を落としちゃった」と本当のことを言って叱られたある子どもは、そのあとお釣りの50円玉を落とし、お母さんから「落とさなかった?」と聞かれて、「落としていない」とウソをついたそうです。
本当のことを言っただけで叱られることが続くと、どんな子どもでも、ウソをつくようになるのです。
会社でも、たとえば、あす休む理由を正直に言っただけで上司に嫌味を言われたりしたなら、次からはウソの理由を言って休むことが増えるはずです。
叱られたり何かを言われたりするのを避けようとするのは、大人も子どもも同じのようです。
子どもが本当のことを言ったときの言葉のかけかたに注意
ウソをつく子どもにならないようにするには、普段から子どもが「これ嫌い」「もうしんどい」など感想のようなことを言ったときや、「もっと遊びたい」「あれがほしい」と希望を言ってきたときに、すぐに叱らないことです。
大人も「旅行に行きたい」と希望を言っただけで叱られたりするのは嫌ですよね。
子どもがその思いや“本当のこと”を言ったときは、その思いをまずは受け止め、何かを言うのはそのあと、と心得ておくと、子どもはウソを言う必要がなくなり、安心して“本当のこと”を言うようになります。
たとえば、もしも「おなかが痛い」と言ったなら、「大丈夫?」と言ってから、「もう、あんなに食べたらだめよ」と言い、「もっと遊びたい」と言えば、叱ったりせず「楽しかったねえ」とその気持ちに共感してから、「でも、もうすぐご飯だからね」と、言えばいいのです。
子どもが本当のことを言えるようにするには
もしも子どもがウソをついているなと思ったときは、決して頭ごなしに叱ったりせず、優しくこう言ってみてください。
「本当のことを言ってね。本当のことを言ったら絶対の絶対に怒らないから。でもウソを言ったら怒るよ」。
それでたいていの子どもは本当のことを言うようになります。
そう言って本当のことを言ってくれたのなら、決して叱ってはいけません。そこで叱ってしまったら元の木阿弥。またウソをつく子どもになってしまいますよ。
親は、「どんな事情があろうとウソはいけない」と思ってしまいがちですが、そういう親も結構ウソをついているものです。
友人との待ち合わせで「待った?」と聞かれたら、本当は待ったのに「ううん」と言ったり、本当は予定など何もないのに「その日は予定がつまっちゃって」と言ったり、軽いウソなら大人は毎日のようについています。
でもそれらは、自分なりの事情があって、ついてしまったウソですよね。子どももウソをつくときは必ず子どもなりの“事情”があるものです。
まとめ & 実践 TIPS
子どもがウソをついたときは、親はその“事情”を探るくらいの余裕をもって臨んでほしいと思います。
ウソをついたからといって、そのままうそつきの人間になったりは、決してしませんよ。
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