家で過ごす子どもたちの心のケア 新型コロナウイルスによる影響(小学校高学年/中学生/高校生)ベネッセ教育総合研究所が子どもの生活・学びの困りごとに応えるシリーズ(5)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐための休校措置により、子どもたちが長い時間自宅で過ごさなければならない状況が起きました。子どもたちのストレスや不安を心配される保護者のかたもいらっしゃると思います。今までにない状況下では、情報を正しく理解し、正しく恐れることが大切。ベネッセ教育総合研究所が運営するインターネット上の「子ども学」の研究所『チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)』では、支援してくださっている専門家の方々に、健康・学び・遊びをテーマに、正しい知識や対処法をうかがっていきます。
6回にわたり、医学博士であり、CRN所長とベネッセ教育総合研究所常任顧問でもある榊原先生による健康面に関するお話をお届けしていきます。

●正しい知識を伝えよう

小学校高学年・中学生・高校生にもなるともなると、新型コロナウイルス感染症が流行している状況をそれなりに理解できるようになってきます。新たに何人の感染者が出た、病院に重症者がいる、亡くなった方がいるといった状況も知ることになります。そのため、自由に外出できない、友達と会えないといったストレスに加えて、目に見えない怖いウイルスが存在するということに対する不安も感じていることと思います。では、不安をどうしたら和らげてあげられるかというと、対処法は大人と同じ。「正しい知識を持って恐れる」ということに尽きると思います。

そこでまず大切なのは、インターネットやテレビなどから得られる情報について、子どもが正しく理解できるように伝えるということです。保護者のかたが、「恐い」と言うのだけでなく、例えば「子どもの場合はかかっても風邪か風邪よりもちょっと重い程度で、命にかかることはあまりないようだよ。だから心配しすぎなくていいよ。」といったことを伝えてあげるだけで、不安を大きく和らげることにつながると思います。

●不安を伝染させない

保護者の方の動揺は、子どもに伝わるということも、頭に入れておかなければなりません。実際に、中国で小学2年生と6年生を対象に行われたアンケート調査でも、親が現在の状況に恐怖を感じている家庭ほど、子どもが不安を強く感じていました。逆に親が「大変だけれど、きちんと対処すればいずれおさまるだろう」という気持ちを持っている家庭では、子どもも不安が小さかったという結果が出ています。

それもそのはず、身近な大人が恐がっているのに、子どもにだけ「不安を感じるな」というのは無理な話ですよね。だから中学生であっても高校生であっても、「いずれ流行はおさまるし、治療法が確立されるだろうから心配ない」ということを、言ってあげるといいと思います。
なかには「本当に流行はおさまるの?」「心配ないと言って大丈夫?」というかたもいるかもしれませんが、そこは頑張ってでも安心できる言葉をかけてあげることのほうが、今は大切ではないでしょうか。もちろんその大前提として、手洗い、マスク、三密を避けるといった行動を、家族みんなで徹底する。そうした行動の先に、やがて夜明けが見えてくるということを共有していくことが、安心感につながっていくのだと思っています。

なお、外に出られない、友達と会いたいということに対しては、低年齢の子どもたちへのアドバイスと同じです。家の周りをジョギングや散歩したり、友達とオンラインでコミュニケーションをとったりするのは良いということを、ぜひアドバイスしてあげてください。

上記記事はベネッセ教育総合研究所が運営するチャイルド・リサーチ・ネット(CRN)に掲載した動画をもとに作成したものです。
チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)は「子どもは未来である」という理念を掲げ学際的、国際的な活動を推進する、インターネット上の「子ども学」研究所です。ベネッセ教育総合研究所の支援のもと運営されています。

チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)では、新型コロナウイルスに関する様々な情報も公開中
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ベネッセ教育総合研究所の支援のもと運営されています。

プロフィール

榊原洋一

榊原洋一

医学博士。CRN所長。お茶の水女子大学名誉教授。ベネッセ教育総合研究所常任顧問。日本子ども学会理事長。専門は小児神経学、発達神経学特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。趣味は登山、音楽鑑賞、二男一女の父。

主な著書:「オムツをしたサル」(講談社)、「集中できない子どもたち」(小学館)、「多動性障害児」(講談社+α新書)、「アスペルガー症候群と学習障害」(講談社+α新書)、「ADHDの医学」(学研)、「はじめて出会う 育児の百科」(小学館)、「Dr.サカキハラのADHDの医学」(学研)、「子どもの脳の発達 臨界期・敏感期」(講談社+α新書)など。

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