子どもを「ほめること」についての3つの誤解[やる気を引き出すコーチング]

先日、幼稚園の先生からご質問をいただきました。
「コーチングでは、できていないことを叱るよりも、できていることをほめると聞きました。園でも実践しているのですが、そうすると、こちらが見ている時は、きちんとするのですが、見ていないとやらないという子どもが出てくるのです。
例えば、大人の前では、これ見よがしにゴミを拾う子どもが、見ていないところでは、お片付けをさぼって友達にやらせたりするのです。ほめるのは本当に良いことなのでしょうか?」
「例えば、日頃はどのようにほめていらっしゃいますか?」
「『ゴミを拾うなんてえらいね』とか『お片付けがちゃんとできてすごいね』とか」
「なるほど!ほめ方を少し工夫されると良いかもしれませんね」

■〔誤解その1〕見られていないとやらなくなる?

「えらいね」「すごいね」「がんばったね」「よくやったね」などのほめ言葉は、決してまちがってはいないのですが、やって当たり前のことに対しても連発し過ぎると、「それをやっている自分はすごい」と思うようになってしまいます。
もちろん、落ちているゴミを拾うことはすばらしいことなのですが、何のためにするのかを考える前に、大人の評価を得るためにやるようになってしまい、評価につながらないならやらないという選択をしてしまいます。

何でもほめちぎれば良いというわけではありません。
「やって当たり前」のことに対しては何も言わなくてもいいというわけでもありません。
「お部屋がきれいになって気持ちいいね」「お片付けをしてくれてみんなも助かったよ」など、その行動によってどんな良い影響があったのかについて伝えてあげると、子どもは自分の行動の意味を考えます。周囲に対する配慮や他者を思いやる心が育ちます。そうすると、見られていないところでも、どうすればいいのかを考えられるようになります。

■〔誤解その2〕ほめるとそれ以上がんばらなくなる?

前述のようなご質問とともに多いのが、「ほめると『これでいいんだ』と子どもが勘ちがいしてしまい、それ以上がんばらなくなるのでは?」と心配するご質問です。確かに、「いいね」「上手だね」といったほめ言葉だけだとそうなってしまうかもしれません。そこで、「ほめる」+αが必要です。

ほめ言葉の後に、「次はどうしようと思ってる?」「他にできそうなことはある?」「次、もっと上手くやるためにはどうする?」などの質問をしてあげてください。その先を考えるようになります。
もちろん、成し遂げたことに対しては十分に認め、「これでは不十分だよ」というニュアンスではなく、「あなたにはもっとすばらしい力があるんだよ」ということが伝わるように関わることが大切です。

■〔誤解その3〕ほめると甘やかすことになるのでは?

また「ほめると、子どもを甘やかすことにつながりませんか?」というお声もあります。「甘やかす」というのは、何でも子どもの言う通りにしてしまうことです。「何でもほしいものを買ってあげるから」など、子どもに迎合して言うことを聞かせようとすることがありますが、これは「ほめる」とは違います。

コーチングには、「承認」というスキルがありますが、「ほめる」は「承認」の一部分ととらえていただけたらと思います。「ほめる」には、相手の言動を評価するニュアンスが多少にじみますが、「承認」とは相手の存在そのものを肯定的に認める関わりです。承認されることで、子どもは自己の存在価値や自己肯定感を覚え、「もっとこうしてみよう!」という前向きな気持ちが湧いてきます。単に、何でも手放しでわがままを聞く「甘やかし」とは違うのです。
子どもが「自分は価値ある存在だ」「自分にはまだまだ可能性がある」「自分は大切にされている」と感じられるような承認をたくさんしてあげてほしいと思います。

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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