「子どもの目線」になって遊びを広げるコツとは?

「どう一緒に遊んでいいかわからないときがある」
「なかなか子ども目線になれない」
「見守ってばかりで一緒に遊べない」
「子どもが喜ぶ遊びがわからない」

これらは、編集部に寄せられた、ふだん子どもと遊ぶときにおうちのかたが抱えている悩みの声です。

子どもと同じ目線で楽しみたいと思う一方で、どう関わったら遊びを広げてあげられるのかお悩みのおうちのかたも多いのではないでしょうか。

そこで、発達心理学に詳しく、子ども向けのイベントやワークショップ、企業向けの企画開発ワークショップなども多数実践・研究されている、臼井隆志さん・安斎勇樹さんにお話をうかがいました。

子どもがやっていることを
名詞ではなく、動詞でとらえる

—私自身も経験がありますが、”うまく遊んであげられない”と感じるおうちのかたは多いようです。
たくさんワークショップを実践される中で、おふたりのおすすめの方法はありますか?

臼井:
子どもと遊ぶ時間を、どう捉えるか、かもしれませんね。
忙しい子育ての中では、つい”自分の時間を犠牲にして子どもと遊んであげている”と考えてしまいがちですが、”自分も一緒に遊んでいる”と捉えることができると、見え方が変わってくることがあります。

また、「うちの子はあまり工夫をしない」というお悩みもよく聞きます。
ワークショップなどで親子の様子を見ていると、親が「それ違うんじゃない?」「こうしたら?」とつい先に口を出してしまう光景を見かけます。
大人からよい・悪いという軸で判断され続けると、子どもは委縮してしまい
結果として「親が考える正しいこと」しかしなくなることがあります。

安斎:
 私は企業向けに企画のアイディアを出し合うワークショップをすることがよくありますが、上司と部下の関係においても、そういったケースはよく見られます。
 ふだんの仕事で「部下が自分の意見を言わない」と課題に感じている上司が、ワークショップのときに「こんなにたくさんアイディアを出すやつだったのか」と驚いたり。
ふだん「意見を言わない」のは、その部下の課題ではなく、「たくさん発言した方がよい」という「望ましい状態」がお互いに合意できていないことが課題なんですね。

臼井:
親子の場合言葉で「合意する」というのは難しいので、大事になってくるのは、子どもがやっていることを「肯定的に読み解く」ことだと僕は思います。

—「肯定的に読み解く」とはどういうことでしょうか?

臼井:
たとえば指しゃぶり。
「いいのか悪いのかわからないもの」と捉える、「自分で情緒を安定させているのだから、子どもに必要なことである」と捉える。あるいは「手の形を舐めながら確認しているので、主体的に学習している」とも捉えられます。そうすると「汚いからやめなさい」とはすぐにならないかもしれない。

「子どもがいつも同じ遊びばかりしている」という悩みも同様です。
実はその繰り返しの中には、その子なりの「違い」があるかもしれません。

—子どもにとっては「違う遊び」ということですか?

臼井:
はい。ボールを落とす遊びであれば、落とす高さや角度を変えて、弾み方や落ちる速度を観察しているのかもしれない。

”名詞ではなく、動詞でとらえる”のが大事だと思います。
「ボール遊び」をしていると見るか、ボールを「落とす」「転がす」「弾ませる」と捉えるか、ですね。

そう読み解くと、「同じことばかり」とは思わず、「繰り返しやってごらん」と言えるのかもしれません。

親は完璧でなくていい
一緒に探索する関係に

—遊びを広げてあげるには、どうすればよいのでしょうか。

臼井:
僕はよく「正面からの提案」と「斜め後ろからの提案」という分け方をします。
おすすめは、「斜め後ろからの提案」です。
たとえば、ミニカーを並べている子どもの横で、親は道路を描いてみるというのはどうでしょうか。
そうすると子どもが親の遊びに入ってくることがあります。

安斎:
「きっかけ」を環境に埋め込んであげるということですか。

臼井:
そうなんです。
親は正面から「これで遊ばなきゃ」と構えずに、横で自分も遊んでいればいいのです。
「平行遊び」と言いますが、3歳ぐらいまでは一緒に遊んでいるように見えても、同じ遊びを同時にやっているだけのことがあります。
実はその「同時にやっている」ということが重要だったりします。

安斎:
関わり方として、上司と部下のような上下の関係ではなく、ちょっと高度な遊びができるプレイヤーとしての位置に立つということですね。

臼井:
僕自身も親として、どういう提案だと子どもが興味をもつのかという「実験」をしていると考えるようにしています。
そうすると自分の楽しみへと変わっていくのでおすすめです。

あとは、親という存在を「いろんなことを知っていて、常に子どもに教えるべき存在」とは捉えないということも、実は大事なんじゃないかなと思っています。
そうすることで、親子は一緒に探索する関係にもなれますから。

臼井:
親は先生にならなくていいと思うのです。わからなかったり、ポンコツだったりしても、それを親自身が受け入れられることが大事だと思うのです。
でも、その方がかえって、子どもの方から教えてくれたりして、発話が増えることだってあります。

安斎:
「ポンコツ」というのはいいですね。
心構えとしてもテクニックとしても、親として子どもの遊びに向き合ったときに、素朴な「問い」を子どもと共有できますから。
わからないことを子どもと一緒に味わうのも、子育てならではの体験ですね。

臼井:
例えばおもちゃがあるとき、 「これはこう使うんだよ」と正面から子どもに教えるのではなく、「これってどう使うんだろうね?」とおもちゃを挟んで、子ども向き合うことで、いつもの2人の関係から、「親」「子」「おもちゃ」と3つの間で関係を結ぶことができます。

そうすることで、子ども自身の遊び方への変化が生まれますし、親としても、子どもと一緒に考えることができるのではないでしょうか。

—おふたりとも、ありがとうございました。
親としてのあり方を少し見直すことで、子どもともっと楽しく遊べるようになるかもしれません。
幼児期は長いようであっという間に過ぎてしまうもの。ぜひ、お子さまとの遊びの時間を楽しんでくださいね。

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【お話をうかがった人】
安斎勇樹(あんざい ゆうき)さん(右)
株式会社ミミクリデザイン代表取締役。東京大学大学院情報学環特任助教。企業などの商品開発、人材育成、地域活性化などの産学連携プロジェクトに多数取り組みながら、創造性を引き出すワークショップデザインとファシリテーションの方法論について研究している。

臼井隆志(うすい たかし)さん(左)
慶応義塾大学総合政策学部卒業後、ワークショップデザインの手法を用い、子どもや親子向けの教育サービスの開発を行うワークショップデザイナー。伊勢丹新宿店の教育事業「cocoiku」に従事し、販売員へのファシリテーション教育や、0~6歳の親子教室「ここちの森」の企画開発などを行う。

イラスト:坂間菜未乃さん

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