子どもがやりたいことを「実現する力」をどう引き出す?[やる気を引き出すコーチング]

今年も、全国でコーチングをお伝えする活動をしてきましたが、とりわけ印象的だったことは、オランダの教育現場を視察してきた二人の現役教育大学生と一緒に、視察報告会をさせてもらったことです。非常に刺激的で楽しい機会でした。

この学生たちは、ちょうど1年前にはじめて「コーチング」と出会いました。日本の未来の教育のあり方について模索するうちに、コーチングが教育のベースにあるオランダの教育にも興味を持ち、「オランダに行って、実際に研究してみたい」と思うようになりました。ところが、渡航費など視察にかかるお金をどう工面するかという問題と直面しました。

「お金はありませんが、どうしたらできるのか?を考えるのがコーチングですよね!だから、実現するための方法を僕らでもう少し考えてみます!」。そう言っていた数ヶ月後、彼らは、思いがけない方法で、やりたいことを実現してしまいました。

■「それは難しい」と大人が決めつけない

以前、こちらのコラムでも少し紹介させていただきましたが、インターネット上で自分たちの夢を語り、多くの人の共感と支援を得るクラウドファウンディングという方法によって、必要な資金を集めたのです。視察から帰ってきてからは、支援へのお礼として、全国をまわって報告会を開催し、大人たちの前で堂々と講演をしています。

彼らは、「コーチングに出会って、自分自身が考えられないくらい変わった」と言います。1年前は、こうして全国で講演をしている自分たちの姿など、とても想像できなかったそうです。

変化のきっかけは、「実現するのは難しい」という考えにとらわれなくなったことです。「お金がないから」、「時間がないから」、「経験がないから」とできない理由を数えあげることが癖になっている人がいますが、コーチングでは、できない理由に焦点を当てるよりも、可能なことを探っていきます。

コーチは、「お金がないから難しいよね」とは言いません。「どうしたらできるかな?一緒に考えてみよう!」と促します。

大人が「お金がないからできない」と言ってしまうと、子どもはもうその枠の中でしか考えられなくなります。時代はどんどん変わっています。大人のこれまでの体験や価値観で、「それは難しい」と決めつけてしまっては、あまりにもったいないのです。

■小さなことでも成功体験を積む効果

彼らは、視察報告会を重ねるたびに、どんどん成長していきました。
「すばらしい報告会でした」、「日本の学生がこんなに意欲的にチャレンジしている姿に勇気をもらいました」などの言葉をもらうことで、日本の教育のために、自分は何ができるのかをいっそう真剣に考えるようになりました。
そして、一人は海外留学、一人は大学院進学という道を選択し、今も夢に向かっています。

「自分で考え、自分で決めてやってみて、やりたかったことが実現した」という成功体験は、また次へのチャレンジの原動力となりました。このような実体験を持つ彼らが、将来、日本の教育現場で活躍してくれる日が、今から楽しみでなりません。

子どもが将来、幸せな人生を送るために必要な力とは何でしょうか?
自分がやりたいことを自分で見つけ、それを実現する力ではないかと私は思っています。そのためには、もちろん、学力は必要だとは思いますが、どんなに学歴があったとしても、「やりたいことがわからない」、「お金がないからできない」と思っていたとしたら、決して幸せではないでしょう。

実現する力を育む上で、「やってみた!できた!次もやってみたい!」という成功体験は、非常に大きな動機付けとなります。日常のどんなにささやかなことであっても、「自分で決めてやった!」という体験を数多く積ませてあげてほしいと思います。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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