「サンタクロースは本当にいるの?」と聞かれたら[教えて!親野先生]

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】

「7歳の子どもに、サンタクロースは本当にいるの?」と聞かれます。なんと答えたらいいでしょうか?
「いるよ」と言って夢を見続けさせる?「いないよ」と真実を教える?「ママにもわからない」と言ってごまかす?
何歳頃まで信じさせてあげればいいのでしょうか?

減塩ママ さん(小学1年生男子)

【親野先生のアドバイス】

拝読しました。

子どもたちは何歳頃までサンタクロースの存在を信じているのでしょうか?
それについては、ネット上にいろいろな調査結果が出ています。
ベネッセ教育情報サイトの調査結果を見てみましょう。

「サンタさん」は何歳まで? サンタクロース&クリスマスの最新事情
https://benesse.jp/kyouiku/201212/20121213-3.html

これによると、年少と年中(4歳と5歳)では100%の子が信じています。
小学1年生(7歳)で90.1%、小学6年生(12歳)38.5です。

ただ、類似の多くの調査がそうであるように、これも「保護者から見てそう見える」という数字です。
でも、子どもの中には、「本当は信じていないけど親には信じているように見せかけている」子もいるのではないでしょうか?

というのも、子どもには「その方がプレゼントがもらいやすい」「子どもらしく喜んだ方が親も喜ぶ。親の期待に応えたい」という気持ちがあるかもしれないからです。
ですから、特に年齢が高い子においては。本当はもっと少ないのではないかと私は勘ぐっています。

とはいえ、どの調査でも共通していることが2つあります。
1つは、年齢が上がるにつれてその存在を信じる子の数は減っていくということです。
成長するにつれて論理的思考力がついてくるので、当然といえば当然です。

もう1つは、同じ年齢でも個人差がかなり大きいということです。
つまり、年長でも信じていない子がいる反面、小学6年生以上でも信じている子がいるのです。
実は、これはとても大切なことであり、大人たちはよく留意しておく必要があります。
それについては、後で述べます。

子どもがサンタクロースの存在を疑うようになるのは、いろいろなきっかけを通してです。
例えば、次のようなことです。

・親がプレゼントを隠すところを見てしまった。
・親が隠しておいたサンタクロースの衣装を見つけてしまった。
・友だちや、年長のきょうだいに教えられた。

・「なぜサンタクロースは自分が欲しいものを知っていたのか?」と不思議に思い始めた。
・「たった一晩で、サンタクロースが世界中の子どもたちにプレゼントを配ることは不可能ではないか?」と疑い始めた。
・「包み紙に近所の店の名前が書いてあった。サンタクロースはいつそこで買ったのか?お金はどうしたのか?」
など、いろいろな疑問がわいてくるようになった。

つまり、小さい頃はサンタクロースという神秘的な存在を信じていたのに、いろいろな経験を経てだんだんその矛盾に気づくようになるわけです。
でも、一気に信じなくなるのではなく、しばらく半信半疑の状態が続きます。

私は、この状態の中で子ども自身が少しずつ真実を受け入れて、軟着陸できるようにしてあげることが大事だと思います。
というのも、何も準備ができていないところで、いきなり真実を知るのは子どもにとっては衝撃的なことだからです。

大人は、「たかがサンタクロースのことで」と思うかも知れません。
でも、子どもの立場に立てば、それまで信じ切っていたことが何の前触れもなく、いきなりすべてウソだったとわかるのは大きなショックです。

子どもによっては、非常に大きな悲しみや怒りの感情を経験することもあります。
そして、それが親に対する不信感に発展してしまう可能性すらあります。
というのも、「今までずっとだまされていたんだ」と感じて、だまし続けてきた親が急に信じられなくなるからです。

それに関して、子どものサンタクロース経験について研究した「臨床心理士」キャシー・マッケイ氏(オーストラリア・ニューイングランド大学)は、次のように言っています。

「サンタ神話は親子の間において長期間に渡って親密に続くものでもあり、もし関係が傷つきやすいものであったら、これが決定的な一打となってしまう可能性があります。『もし、両親がこれほどもっともらしい嘘を、これほど長い間に渡ってつき続けることができるなら、他にもどんな嘘をついているかわからない』と子どもは考えるでしょう」(イギリス「ガーディアン誌」・翻訳は親野)

そうならないためには、先述したように、子どもの個人差に応じた対応が大事になります。

まだ完全に信じ切っている子に、「実はサンタクロースなんていないんだよ。それは作り話なんだ。クリスマスプレゼントもパパやママが買ってきてこっそり置いておいたんだよ。去年もらったサンタクロースの手紙もパパが書いたんだよ。あなたももう○年生だから、本当のことを知っておかないとね」などと、いきなりむき出しの真実を話すのはやめるべきです。

ですから、もし子どもが質問してきたら、「あなたはどう思う?」と聞いてみるといいでしょう。

「あなたはどう思う?」
「ぼくはいると思うんだけど、友達はいないって言ってくる」
「なんでその子はいないって言うのかな?」
「一晩で世界中の子どもたちにプレゼントを配るなんて、できるはずがないって言ってた」「そうなんだ」
「でも、ぼくは絶対いると思う」
「そうだね。ママも絶対いると思うよ」

このように、対話の中で本人の認識を探りながら、それを追認するように答えればいいと思います。
本人が「絶対にいる」と思う気持ちが非常に強いなら、「ママも絶対にいると思うよ」と答えます。

本人が迷いながら「いると思うけどなあ」という感じなら、「ママもいると思うけどなあ」と答えます。

本人が疑う気持ちが強いなら、「いないのかねえ」などと答えます。

なにも親が答えをはっきり示す必要はないと思いますので、「ママもよくわからないけど…」というニュアンスでいいと思います。

子ども自身が、自分の体験と周囲からの情報を照らし合わせながら、だんだん悟っていくのに任せればいいと思います。

やがて、はっきりとすべては作り話であったことを悟るときがきます。
でも、そのときも、サンタクロースにまつわるすべての体験が、子どものころのよき思い出として残るようであってほしいと思います。

思い出すたびに親からの愛情が実感でき、子どもの気持ちを大切にしてくれた親への感謝の思いがわいてくる、そういう思い出であってほしいと思います。

私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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