「やりたいことがわからない」と言う子どもへの質問 [やる気を引き出すコーチング]

日頃、生徒と接していて、「自信がない」に次いで多い相談テーマが「やりたいことがわからない」です。上の学校に行くほど多くなります。
これまでずっと、「こうしなさい」、「それはダメ」とさんざん言われて育ってきたため、「あなたはどうしたいの?」と質問される体験が本当に少なかったんだなと感じます。
「やりたいことがわからない」と言う子どもには、どんな投げかけをしていくと効果的なのでしょうか。事例をご紹介しながらお伝えします。

■「やりたいこと」を言い換える

これは、小学校6年生の担任Y先生のお話です。Y先生のクラスでは、子どもたちの自発的な行動を引き出すために、毎月、一人ひとり「今月の目標は何ですか?」と問いかけ、書いてもらうようにしていました。
しかし、ずっとやっていると、しだいにマンネリ化してきて、「勉強をがんばる」と書くだけで終わる子どもや、書くことがわからないという子どもが出てきました。

そんな折に、コーチング講座にいらっしゃったのですが、この時、「質問のレパートリーを増やす」という言葉が、Y先生にはヒットしたようです。「なるほど!相手によって、ヒットする質問としない質問があるのか。質問を変えてみたらいいのか!」
早速、質問を変えて、子どもたちにきいてみました。

「最近、もっとこうだったらいいなって思うことは何かないですか?」
最初は、キョトンとしていた子どもたちでしたが、
「宿題がもっと少ないといい!」
などと言い始めました。「あれ?なんだか違う方向に行きそうだな」と思いながらも、Y先生は問いかけました。
「少ないといいなと思っているんだね。先生は、みんなだったらできると思っているんだけど。じゃあ、今の量で、もっと早くできるようになるためにはどうしたらいいかな?」
「家に帰ったらすぐにやる!」
「いいね!それを、今月の目標にしてみたら?」

こんな調子で、子どものたちの目標がどんどん具体化されていきました。「次はこれをやってみたい!」という声も出るようになりました。今回の実践について、Y先生はこう話してくれました。
「『目標』とか『やりたいこと』という言葉だけで質問していても、浮かんでくるイメージが広がらないですね。やりたいことがないわけではないと思うので、それらを引き出すために、いろんな質問を持っておくといいなと思いました。
今後は、『今月の目標』ではなくて、『今月の質問』というお題で、毎月、違う質問をしていこうと思っています」。

■質問はヒットするまで投げかける

質問しても、子どもが「わからない」と言って黙ってしまうことは、よくあることです。こんな時、コーチはどう考えるかというと、「この質問が、今、この子にヒットしていないだけだ」と考えます。
「やりたいことは何?」という質問で引き出せない場合は、しばらく待ってから、違う質問を投げかけます。答えられない子どもを責めたり、答えを引き出せない自分を卑下したりする必要はありません。

何がヒットするかは、子どもによって違いますから、日頃から、やりたいことや目標を明確化するための質問をいくつか持っておいて、ヒットするまであれこれ投げかけてみることをおすすめします。折々に投げかけ続けることで、目の前の「やりたいこと」に限らず、将来「やりたいこと」のイメージも湧くようになっていくでしょう。

例えば、こんな質問はいかがでしょうか?
「ワクワクすること、どんなこと?」
「今年よりももっと上手になりたいことは?」
「3ヶ月後は、どうなっていたい?」
「どんなことができるようになりたい?」
「今、ちょっと興味があることは?」
「今、解決したいことは?」
「やろうと思っているけれど、始められないことは?」
「物とかお金以外で何でも手に入るとしたら何がいい?」

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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