プール嫌い!という子ども、どうしたらいいの?

暑い季節になると、幼稚園や保育園でもプールの時間が設けられます。
幼稚園や保育園のプレスクールに通う場合は、2歳くらいからプールに入ることもあります。プールに入る年齢が遅かれ早かれ、小学生になればほとんどの子供たちがプールの授業を受けることになります。しかし、プールが好きなお子さまと嫌いなお子さまでは、上達スピードにも差が生じることに。
そこで今回は、プールが嫌いなお子さまや苦手なお子さまが小学校へ入学するまでに克服できるような方法をご紹介します。

子どもがプール嫌いになる主な原因とは

最初から水を怖がることなくプールに入って行けるお子さまもいれば、顔にちょっとでも水がかかると泣き出してしまうお子さまなど、プールでは様々な子供たちの姿を見ることができます。では、プールが嫌いなお子さまは、どのようなことが原因でプールに苦手意識を持ってしまうのでしょうか?

◆水に対してネガティブな印象を持っている
プール嫌いになる大きな原因とも言えるのが、子供たちが持つ水に対してのネガティブな印象です。水に対して嫌な印象を持ってしまうケースとしては、「肌に触れた水が想像以上に冷たかった」や、「突然顔に水がかかってきて恐怖感を感じてしまった」などがあります。水が原因で嫌な思いをした経験が、水にネガティブな印象を持ってしまう1つの原因となる場合があります。

◆鼻や耳に水が入ってしまった経験がある
プールの時に、鼻や耳へ水が入ってしまった経験はありませんか?
あの経験は大人でもいい気持ちのするものではありませんし、子供にとっても不快なものです。鼻に水が入った時のツンとした痛みや、耳に水が入った時の不快感は、子供たちの「水=嫌なもの」というイメージの要因になると考えられます。

◆無理やり水へ顔をつけられたなど怖い思いをした経験がある
水に慣れてもらうために、力ずくとまではいかずとも本人の意志とは別で水面に顔をつけさせた経験のある大人は少なくありません。
しかし、子供からしてみればその経験は恐怖以外のなにものでもないのです。ほかにも、興味本位で足のつかないような深いプールに入って溺れそうになった等、プールという環境下で何かしらの恐怖を感じた子供は、その恐怖心からプールが苦手になってしまうことがあるようです。

プールが嫌だ!と子供が言い出したらどう対処する?

プールの季節が始まると同時に、プール嫌いのお子さまをもつ保護者の方は、お子さまの「プール嫌だ!」という言葉で頭を悩ませるのではないでしょうか。もし実際に自分の子供がプールに拒絶反応を示したら、どのように対処すればいいのでしょうか?

◆プールに無理やり入れるのはNG!
ほかの子どもたちが楽しんでいるのに、我が子だけがプールを嫌がる姿を見ていると、親心としては「早くプールに慣れてほしい」と思うもの。そのため、嫌がるお子さまになんとかプールに慣れてもらおうと努力する保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そういった熱心な気持ちもよくわかるのですが、実はプール嫌いのお子さまにとってその対応は逆効果です。
お子さまの「プールに入りたくない」という気持ちを無視した行動となってしまい、その影響でお子さまが「幼稚園に行きたくない」という気持ちに繋がってしまう懸念もあります。早くプールに慣れてほしい気持ちはグッとこらえ、まずはお子さまの気持ちに寄り添ってあげましょう。

◆プールが嫌な理由を聞いてあげる
嫌なものに立ち向かわなければいけない時は、大人でも心細くなるものです。
プール嫌いのお子さまにとって、プールの季節は毎日嫌なことと向き合わなければいけない時期。その日を乗り越えても、また翌日には苦手とするプールとにらめっこしないといけません。
そんな時には、まずお子さまの不安な気持ちにしっかりと耳を傾け、受け止めてあげましょう。なぜプールが嫌なのか、プールのどんなところが苦手なのかを聞いてあげることで、お子さまの不安をやわらげてあげるようにしてください。

◆プラスの声かけをしてあげる
プールが嫌だというお子さまの気持ちに寄り添ってあげた後は、お子さまが抱いているプールへのマイナスイメージを取り払うように、プラスの声かけをしてあげましょう。ただ単に「頑張ろうね!」というような声かけではなく、「お風呂で一緒に練習してみようか」や「怖い気持ちがなくなったら、頑張ってみようね」など、具体的な声かけがよいでしょう。「嫌だと言えば保護者に守ってもらえる」という風にお子さまが思わないよう、苦手なことへも立ち向かっていけるように声かけをしましょう。

水嫌いな子どもが楽しく水と触れ合うために

水に苦手意識を持っているお子さまには、まず水と触れ合う楽しさを教えてあげましょう。パパやママと一緒に楽しく水遊びをすることで、自然と水への恐怖心をやわらげることができます。

◆おもちゃを使ってお風呂で遊ぶ
水嫌い克服の第一歩は、毎日入る家でのお風呂です。お風呂はお子さま自身が一番の信頼を置いている、保護者と一緒に入るもの。水は苦手でも、プールに比べてお風呂の中では比較的リラックスできるというお子さまはいらっしゃるかと思います。
リラックスタイムでもあるお風呂の中で水遊びをして、水への恐怖心を徐々に減らしてあげましょう。特別なおもちゃを用意する必要はありません。水鉄砲やお風呂用のお人形などを使って、お子さまのペースに合わせながら遊ぶようにしましょう。

◆タオルくらげで一緒に楽しむ
タオル一枚で楽しく遊べる方法としておすすめしたいのが、「タオルくらげ」です。浴槽の中でタオルを浮かべ、そのままタオルの端っこをきゅっとお湯の中でしばるとクラゲのような形に。空気が入ってふくらんだ部分をゆっくりとお湯の中につけていくと、繊維の隙間からブクブクと泡が出てきます。おもちゃ屋さんに売っているおもちゃとはまた違う面白さに、お子さまは興味を持ってくれるでしょう。「水の中でこんなに面白いことができるんだ!」という驚きが、水への恐怖心を取り払うきっかけになるかもしれません。

◆水に慣れてきたらお顔洗いごっこ
お風呂での水遊びに慣れてきたら、水が顔にかかることへの不安も取り払えるような遊びに転換していきましょう。
その第一ステップとしておすすめなのが、お顔洗いごっこです。最初は水で濡らした手を、ほっぺにトントンするところから始めましょう。お子さまの様子を見て、慣れてきたらトントンする面積や水の量をお子さまのペースにあわせて少しずつ広げていきます。この時、ほっぺにトントンがうまくいったからといって、いきなり顔にたくさんの水がかかるようなことは避けてください。
水が顔についても怖くないよということを、遊びながら教えてあげることでお子さまの水に対するネガティブな印象を薄めてあげることができます。

子供のペースに合わせよう

プール嫌い克服のポイントは「焦らず、お子さまのペースで」です。幼稚園でのプールが始まる夏前や、小学校入学前だとどうしても保護者は焦ってしまいます。
しかし、無理強いしてしまうのは逆効果。少しでも進歩が見られたら、その成果をしっかりと褒めてあげることが大切です。また、水の遊びは危険が伴いますので、必ず保護者の方がお子さまをしっかりと見守っていられる環境下でプールの練習をするようにしましょう。

プロフィール



保育士として15年以上にわたり、福祉施設、託児所、保育園などさまざまな場面での保育業務に携わる。
食育実践プランナー資格も有している。

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