甘えてくる子どもの心理とは?ケース別の理由と対処法
お子さまが保護者のかたに甘えるのは当たり前ですが、甘えすぎもちょっと考えものと思いますよね。ただ、幼稚園や保育園に通う3~5歳のお子さまは、外での集団生活で頑張っているぶん、たまにはおうちでは保護者のかたに甘えたくなるときもあるはずです。では、どういった心理のときにお子さまは甘えるのでしょうか?
甘えさせるメリット、「甘やかすこと」との違いについてもご紹介します。
この記事のポイント
子どもの「甘え」の種類
お子さまの甘え方はさまざまです。あの手この手で、保護者のかたの気を引こうと甘えてきます。それでは、甘え方にはどのようなものがあるのか、いくつか紹介しましょう。甘えの理由と対処法は、次の章で解説します。
甘えの種類
1)抱っこなどのスキンシップ
2)「なんで?」としつこく話しかけてくる
3)ワガママを言ってくる
4)思い通りにならないと暴れる
5)できることをわざと「できない」と言う
6)弟や妹をいじめる
「甘え」ケース別 理由と対処法
1)歩けるのにすぐ「抱っこ」という場合
もう自分で歩けるのに、すぐに「抱っこ」と言う甘えや、近くにいてほしいと言ってスキンシップを求める甘えは、安心感を得たいからです。理由はお子さまによってさまざま。たとえば、下にきょうだいができた場合や、保護者のかたが忙しくなったことで一緒にいる時間が減ってしまった場合などが考えられます。
肌と肌が触れ合うスキンシップは、お子さまにとっては最高の安定剤です。その時間を少しでも長く持つことで、保護者のかたがそばにいてくれる安心感を得ようとしているのでしょう。時間の許す限り、甘えさせてあげることが大切です。
2)「なんで?」と質問攻めをしてくる場合
保護者のかたの都合など考えず、質問攻めをしてくるお子さまもいるでしょう。何度も続くと面倒臭くなる場合もありますよね。
しかし、そのようなときお子さまは、自分の気持ちに「きちんと」応えてくれないと感じ、さみしくなっているのかもしれません。その気持ちから、きちんと応えてくれるまで何度も言ってしまうことがあるのです。
信頼できる親だからこそ、お子さまは自分の知りたい気持ちを満足させてほしいと思っています。保護者のかたはできる限り、きちんと質問に付き合い、答えてあげることが大切です。そうすることで満足し、質問攻めも落ち着くようになるでしょう。
3)ワガママを言ってくる場合
お子さま自身もいけないことだと分かっているのに、ワガママを言ってしまうことがあります。たとえば、妹や弟である赤ちゃんにおっぱいをあげているときに抱っこをせがみ、「今はできない」と言われると泣き出すことはありませんか? これは、「自分のワガママをどこまで受け入れてくれるのだろうか」と愛情の確認をしているからでしょう。
お子さまの気持ちを理解し、叱らずに、ときにはしばらく抱っこしたりひざの上で一緒に遊んだりして、お子さまとの時間を作ってあげてください。
4)思い通りにいかないと暴れる場合
自分の思った通りに事が運ばないと、暴れてしまうお子さまもいます。心を許した保護者のかたの前だからこそ、そのような形で気持ちの整理をしようとするのでしょう。どこにどう気持ちをぶつければよいのか分からないのかもしれません。
この場合はひとまず、スキンシップをしながら落ち着くまで待ちましょう。それから、気持ちに共感し、慰めたり、励ましたりといった形で接してみてください。
5)できるのに「できない」と言ってやらない場合
今まで自分でできていたのに「できない」と言って甘えるのは、幼稚園や保育園などの集団生活で頑張っているからかもしれません。家に帰ると、お子さまもほっと一息つく時間になります。保護者のかただからこそ、甘えようとしているため、できるだけ甘えさせてあげましょう。
6)下の子を攻撃する場合
下の子が産まれると、妹や弟を攻撃してしまうお子さまもいます。そのようなお子さまは、ヤキモチをやいているのでしょう。
今まで自分のことだけを見て、自分一人のためだけにお世話をしてくれていた保護者のかたが、下の子ばかりに目を向けるようになれば、単純に嫌ですよね。ましてや下の子が赤ちゃんならば、どこへ行っても「かわいいね」と言われるでしょう。そうすると、上のお子さまは「わたしを見て」という気持ちが強くなります。
保護者のかたは、上のお子さまとの時間も大切にし、「きちんと見ているよ」という気持ちを伝えてあげましょう。
甘えさせることのメリット
安心感が得られる
お子さまが保護者のかたに甘えるのは、信頼し、安心できる相手だからです。甘えることにはきちんと理由があります。保護者のかたがしっかりとお子さまの意思をくみ取って甘えさせてあげることで、お子さまは安心感を持つことができるでしょう。
自己肯定感がアップする
保護者のかたに受け入れられたことで、「自分を認めてもらえた」と感じ、自己肯定感のアップにつながります。逆に、甘えさせないでいると、「自分は受け入れてもらえない」と感じ、自己肯定感が下がったり攻撃的になったり、不安感が強くなったりすることにもつながるでしょう。お子さまの気持ちを理解し、甘えさせてあげることは、お子さまの成長のためにも必要なのです。
「甘やかす」と「甘えさせる」は違う
「甘えさせる」ことは必要だと言いましたが、「甘やかす」こととは違います。では甘やかすとはどういったものなのでしょうか?
たとえば、お子さまが自分でできることを大人がすぐに助ける、我慢させないといけないのに我慢させないなどは、甘やかすことです。おもちゃやお菓子が欲しいと言われたときに、すぐにお子さまの要求に応えて与えてしまうという行為も甘やかしになります。
お子さまを甘やかしてばかりいると、自己肯定感が育たずに自立できなかったり、ワガママが止まらなくなったりしてしまう可能性もあります。
対して甘えさせるというのは、お子さまの気持ちを理解し、スキンシップを図るなどして、お子さまの心理的な要求を受け入れることです。似ている言葉ですが意味が違うので、間違えないようにしましょう。
甘えてこない子どもがいるのはどうして?
親が厳しすぎると甘えられない可能性が
甘えるお子さまばかりではなく、なかには甘えてこないお子さまもいます。甘えてこないお子さまは、とても厳しくしつけられたり、叱られたりして育ってきた場合が多いです。
そのようなお子さまにとって、保護者のかたは怖い人でしかありません。保護者のかたが自分の味方ではないと感じると、お子さまは甘えることができなくなってしまいます。
子どもの気持ちに寄り添うことが大切
「どうして、うちの子は甘えてこないのだろうか」と思っている保護者のかたもいるでしょう。その場合は、保護者のかたからスキンシップを図るなど、お子さまの気持ちに寄り添ってあげてみてください。
また、叱りたくなったときには、一度落ち着くことが大切です。そして、お子さまの気持ちや理由を理解してあげてください。叱るほどではないときは、見守ることや前向きな言葉掛けをすることを心がけましょう。
叱る必要があると判断したときは、感情的に大きな声を出すのではなく、落ち着いたトーンで話してみてください。お子さまが理解したならば、「これから気をつけようね」と頭をなでたり、ギュっと抱きしめたりしてあげましょう。
サインを見逃さないように
「できれば甘えさせてあげたい」と思っていても、甘えさせるのはなかなか難しいと感じる保護者のかたもいらっしゃるかと思います。まずは、お子さまの「甘えたい」想いに気付けるように、表情や行動のサインがないか意識することから始めてましょう。
そのためにはまず、お子さまの好きなこと、嫌いなこと、喜ぶこと、楽しんでいること、嫌がることなど、お子さま自身を深く知ろうとすることが大切です。そうすれば、お子さまのサインに気付くこともできるようになるでしょう。