発想をくるり!「孤食」をお子さまが成長するきっかけにしよう!
最近、孤食という言葉をよく聞きませんか?一人だけ、あるいはお子さまだけで食事をする「孤食」が、お子さまの成長に悪い影響を与えていると社会問題になっているのです。
しかし共働きや、ひとり親の家庭ではなかなか解決できる問題でもありません。そこで今回は孤食とどう付き合っていけば良いのかについてご紹介します。
孤食によって欠けてしまう、食事が本来持つメリット
孤食が増えると、どのような影響があるのでしょうか?
まずは保護者の目が届かないところでご飯を食べるため、自分の好きなものばかりを食べるようになります。好きなものばかりを食べるということは食事のレパートリーが減るということなので、好き嫌いが激しくなる可能性があるのです。
また、食事には「家族の団らん」という役割もあります。食事は、ただご飯を食べるだけでなく家族が同じテーブルを囲んで楽しく話をする場でもあります。例えば、何かお子さまに悩みごとがあっても折り入って相談するのは勇気が出ないということもあるでしょう。そんなときに、食事時の会話は悩みを打ち明けるきっかけになるなど、重要なコミュニケーションの場となります。
さらに、一緒に食事をとることで、食事に関するマナーやルール、エチケットなどを保護者からきちんと教えてもらえます。その中には、食べ物を取り分けるなど、他人への気遣いなども含まれるでしょう。
家族での食事には本来そうしたメリットがありますが、孤食ではそれらが欠けてしまう恐れがあるのです。
太ったり、痩せたり……。孤食によって身体的な影響も
一方、孤食の悪影響は体にも出てきます。好きなものばかりを好きな量だけ食べるようになるため、体重が増えすぎたり、その反対に栄養がしっかりとれずに成長を妨げられたりするのです。
また食べ物の味は舌にある味蕾(みらい)という器官で感じ取りますが、その味蕾が発達する時期に濃い味に慣れてしまうと味覚が育たなくなります。「味がうすい」と言って、何にでも醤油やソースをかける濃い味付けが好みのお子さまになってしまうこともあるのです。
もちろん一人の食事は楽しくありませんから食も進みませんし、育ち盛りの時期にもかかわらず食事の量が増えない危険性があります。そのためお腹が空いても食欲が湧かず、元気が感じられないようになるかもしれません。
孤食もアイディア次第でお子さまのプラスに
このように孤食の悪影響は様々なところに現れてきます。優先順位はお子さまが一番ですが、だからと言って仕事の時間などを変えて、親子で食事をとれるようにしようと思っても、そういった状況自体を変えることは簡単にはできません。もちろんお子さまの部活や塾の時間をずらすこともできませんよね。
そこで「孤食は悪い」と否定するのではなく、孤食でもお子さまの成長にプラスになるような面があることを知り、お子さまに伝えることでお互いに理解していくことが必要だと言えるでしょう。
孤食は、食器の片付けや簡単な食事の準備などを、一人ですることになります。そのため保護者は事前に、「食べ終わったら、自分の分の食器は洗って片付けておいてね」と伝えるほか、食事に関しても「マヨネーズとドレッシングは冷蔵庫から出してね」「卵を割ってかけてね」「電子レンジで温めて食べてね」など、そのつどメモや伝言をしてあげましょう。このように、年齢に合わせて簡単なことから食事の準備や片付けに関わることで、生活する術を自然に身に付けていきます。
後で「きちんと洗い物をしてくれてありがとう」「レンジの使い方覚えたんだ、偉いね」など、一つひとつを褒めてあげて、お子さまの自信ややる気を刺激してあげることが大切です。
甘えさせる時間もつくり、家族の絆を深めよう
とは言え、やはり一人での食事は寂しいものです。できる限りでいいですから「一人で食べさせてごめんね」など食事にメッセージを添えてみましょう。「自分のことを気にかけている」とわかるだけでお子さまは安心し、保護者の状況を理解しようとするものです。
もちろん時間が許すときには一緒のテーブルで食事をする機会を設けてください。そのときはスマホだけではなく新聞やテレビをできるだけ避け、「おいしいね」と笑い合いながら食べましょう。
また楽しい食事の思い出はお子さまの記憶に残ります。そういうときはお子さまのリクエストに応えたり、好きなものを用意してあげたりするなど、少し甘えさせてあげるのもいいでしょう。
孤食とどう付き合っていくのが良いかについてご紹介しました。孤食になってしまう仕方のない状況がある場合は、お子さまが理解できるような伝え方や褒め方をすることで寂しさを少しでもやわらげ、心の成長の手助けをしていくことが大切です。