算数が得意な子、どう伸ばす?
- 学習
「好きこそものの上手なれ」といわれますが、何事も楽しんでやることによってうまくなるという言葉どおり、算数が楽しいと思う子はどんどん力がつきます。
ですが、ふとしたきっかけで嫌いになったりすることもあるので、好きという気持ちを持ち続けられるよう、また、その好きをもっと好きにできるようご家庭でできるフォローについてご紹介します。
この記事のポイント
好きを持続させるには「ほめる」と「認める」
できることをきちんと認める。
これがお子さまをどんどん次へ進ませる王道です。
計算の宿題を自分から進んでやる、算数の授業で手が挙がるなど、算数好きの片鱗がどこかに見えたら、「算数がんばっているね。すごいね」とほめることで、お子さまは「自分は算数が得意なんだ」と自覚し、より自信を持って取り組むようになります。
また、ときにはおうちのかたがお子さまに算数の解き方を教えてもらうことがあってもよいかもしれませんね。人に教えるということは、理解を深めます。自分の理解度を改めて振り返ることにもなりますので、お子さまにとってはよい復習の機会となるでしょう。
- ・できたことをほめて認めてもらうと、次への原動力に
- ・人に教えることで理解が深まる
つまずきには「寄り添う」
とはいえ、いつも順調に進むとは限らないもの。
できないことに出合い、すっかりやる気をなくす時もあるでしょう。
複雑な文章題や計算が出てくる4年生以降はちょっとしたつまずきで、嫌いに変わることがよくあります。
本来、算数は計算力を高める教科ではなく、課題を解決する思考法を学習する教科なのです。
その楽しさを感じさせることが重要です。
では、どういう時にその楽しさを感じることができるのでしょうか?
算数の単元はスパイラルになっています。
たとえば「かけ算」は、2年生で「九九」、3年生で「かけ算の筆算」、4年生では「小数のかけ算」というように、学年ごとに学習が深まっていきます。前学年で学習した考え方を使って新しい内容を理解していくというカリキュラムだからこそ、前学年で理解不足だった部分も、学びなおしながら新しい考え方を獲得できるのです。
算数・数学の教材編集を担当している私、村上は、実は5年生のときに「割合」でつまずいてしまいました。が、6年生の「比」を習った時に、「割合」で理解できなかったことが、急に理解できてびっくりした経験があります。大人になった今では、その2つの単元の関連性が理解できますが、小学生のころはまだ関連性の理解には及ばず、ただ算数ってなんだか面白いなと思った記憶があります。
お子さまが、学習で立ち止まった時、おうちのかたはできればお子さまに静かに考える時間をつくってあげてください。おうちのかたが何か教えようとする必要はありません。お子さまが自分でクリアする力があると信じて、気長に見守りましょう。
- ・算数は課題を解決する積み重ねで面白さを感じるようになる
- ・つまずいた時は見守る姿勢で
好きを伸ばす手立て
■ゲームや遊びを通じて
ゲームの中にも算数要素が入っているものがあります。
「テトリス」は落ちてくるブロックを操作して列を埋めるゲームですが、空間認識や図形の見方を養うことができます。
学校の授業でも使われることのある「マインクラフト」は仮想空間の中で物づくりや冒険ができるゲームですが、空間認識力や創造性を育てることなどを目的としています。
ゲームばかりに時間を取られるのは問題ですが、ゲームもうまく使うことで算数の力を鍛えることにつながるかもしれません。
■論理的に考える学びの機会
習い事として今人気の「プログラミング講座」や「ロボット教室」なども、算数の力を伸ばす発展形としておすすめです。どういう手順でどういう指示をすれば自分の思うように動くのかなど、試行錯誤しながらつくり上げていくことで、論理的思考力の育成につながっていきます。
■「算数検定」や「算数オリンピック」にチャレンジ!
お子さまの算数の力がどのくらいか知りたいかたは、「算数検定」「数学検定」を受けてみるのもよいでしょう。検定結果が入試に優遇される学校もありますし、いろいろなレベルに合わせて受検できます。
また、「算数オリンピック」という世界中の子どもたちが思考力を競い合う大会もあります。こちらは出場年齢が限られてきますが、算数自慢のお子さまにはチャレンジし甲斐のある大会です。出場しないまでも、過去問が市販されていますので、試しに解いてみることをおすすめします。
どれも、算数・数学で大事にしている、論理的に物事をとらえて解決する思考を伸ばす1つのきっかけになります。お子さまがやりたいと思うものがあれば、ぜひチャレンジして、好きを自分の力に変えていってほしいと思います。
- ・ゲームも内容や時間を取られすぎない工夫で算数の力に
- ・プログラミングなどの習い事も試行錯誤のトレーニング
- ・算数検定や算数オリンピックもトライしてみる
まとめ & 実践 TIPS
お子さまの「好き」な気持ちを大事にしてあげてください。おうちのかたができることは、お子さまが自分の好きを伸ばす時に、その芽をまっすぐ伸ばせるように環境を整えることと、お子さまの持つ力を信じてあげることです。一見遊びに見えることも、実は学びにとって重要な意味や経験になることが多いもの。ちょうど幼児期の積み木遊びなどがそうです。人生に無駄なことは1つもないと思って、お子さまのチャレンジを応援していってあげてください。
株式会社プランディット 数学課 村上
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの算数・数学の教材編集を担当。
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