給食で子どもが残すのは1年で約7.1キロ 求められる食育の充実

多くの子どもたちにとって学校での給食の時間は、楽しみの一つでしょう。でも、給食にも食べ残しはつきものです。子どもたちの給食の食べ残しは、どの程度あるのでしょうか。そんな疑問に答える調査結果を、環境省がまとめました。給食の食べ残しは、1年間で小中学生1人当たり平均7.1キログラムとなっています。これに対して同省は、文部科学省などとも協力して、食べ残し削減のため、学校における食育などの充実を図ることにしています。

食品ロス削減国民運動を進めている環境省は今年1月、初めて全国規模で公立小中学校の給食食品ロス状況調査を実施し、全国1,742の市区町村のうち1,389自治体(79.7%)から回答を得ました。公立小中学校の学校給食の食品廃棄物の量を推計したところ、小中学生の子ども1人当たりの1年間の食品廃棄物の量は、調理で出た野菜くずなどの調理残さが5.6キログラム、「食べ残し」が7.1キログラム、廃油など「その他」が4.5キログラムでした。ごはん茶わん1杯当たり150グラムと仮定すると、子ども1人当たりの「食べ残し」は、1年間でごはん茶わん約47杯分となる計算です。また、欠席した子どもの分を除いた学校給食全体の残食率は、平均6.9%でした。逆にいえば、子どもたちは学校給食で出された食品の約93%を、残さずに食べているということになります。

この食べ残しを多いと見るか、少ないと見るかは意見の分かれるところです。レストランなどの外食産業の食べ残しは、もっと多いともいわれています。しかし、子どもの健康と適切な食習慣を育てるという学校給食の役割からも、食べ物を大事にするという意味からも、食べ残しは少ないに越したことはありません。調査では、子どもたちが残さないようメニューや調理法を工夫しているという自治体が71.2%、さらに食べ残しを減らすための食育を行っているという自治体も64.5%ありました。環境教育のため環境省は、2015(平成27)年度から食べ残しの削減、食品廃棄物の飼料・たい肥へのリサイクルなど、学校給食に関する食品ロス削減を目指すモデル事業を実施することにしています。

同時に子どもたちに対する食育も欠かせません。食育について文科省では、以前にもお伝えしたように2014(平成26)年度から「スーパー食育スクール」によるモデル事業に取り組んでおり、公募の結果、同年度は42校(小学校26校、中学校8校、高校5校、中高一貫校3校)、15(同27)年度は35校(小学校19校、中学校7校、高校6校、中高一貫校3校)が「スーパー食育スクール」に指定されました。モデル校では「食とスポーツ」「食と健康」「食と学力」などさまざまな面から先進的な食育の研究を進めていますが、家庭との連携を重視した取り組みも少なくありません。

やはり子どもの食育の大きな要は、家庭だといえるでしょう。子どもにとって身近な学校給食のメニュー・成分表などを見ながら、何が好きか・嫌いか、今日は給食を全部食べたかどうかなどを、子どもと一緒に話しながら、家庭でも食育を考えてみてはいかがでしょうか。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

子育て・教育Q&A