レバー嫌いでも大丈夫! 小学生に不足しがちな栄養素「鉄」の効果的な摂取法
思春期に起きる貧血の原因でいちばん多いのは、鉄不足よる「鉄欠乏性貧血」です。成長期のお子さまに不足しがちな鉄をどのように摂取すれば良いでしょうか。元日本オリンピック委員会強化スタッフで、現在はトップアスリートに栄養指導を行う管理栄養士の川端理香さんにお話を聞きました。
鉄は身体に酸素を運ぶ重要な栄養素
人間の血液に含まれる赤血球には、体内に酸素を運ぶヘモグロビンという色素が含まれています。体内でヘモグロビンをつくるために重要な栄養素が、鉄です。特に小学生から高校生までの成長期には、筋肉や血液量も増えるため、多くの鉄が必要になります。30〜49歳の1日の鉄摂取推奨量は男性が約7.5mg、女性が約5.5mgですが、12〜14歳の子どもが1日に摂取したい推奨量は、男性が約11.5mg、女性が約10mgです。体は小さくても成長期の子どもが、大人以上に鉄を摂取する必要があることがおわかりいただけるでしょう。
成長期に鉄が不足すると、「鉄欠乏性貧血」を起こす可能性があります。「鉄欠乏性貧血」になると、疲れやすくなるほか、イライラしやすくなり、集中力がなくなるといった症状が出ます。特に思春期の女の子は月経による出血により、鉄不足になりがちなので「鉄欠乏性貧血」に陥りやすいのです。
へム鉄と非へム鉄をダブルで摂取しよう
「鉄欠乏性貧血」を予防するには、鉄を多く含む食材を意識的に摂取することが大切です。食材に含まれる鉄分には2種類あり、肉類や魚介類に含まれる「ヘム鉄」と野菜類に含まれる「非へム鉄」があります。「へム鉄」の代表的な食材といえば、レバーがあげられます。レバーのなかでも豚レバーは鉄の含有量が多く、牛レバーの3倍も入っているのでおすすめです。
ただ、レバーは独特の臭みがあるため、苦手なお子さまも多いようです。下処理などが必要なので、保護者にとっても調理しにくい食材ではないでしょうか。そこでおすすめなのが、「レバー入りカレーチャーハン」です。通常のチャーハンの材料に、牛乳に浸して下処理したレバーを細かく切って加え、カレー粉で味つけをすると、お子さまでも抵抗なく食べることができます。また、衣をつけてフライにするのも良いと思います。
またサバにもへム鉄が含まれます。サバ缶は、お値段も安く、既に火が通っているので調理しやすいのが特徴です。味噌味や醤油味などいろいろな種類がありますが、私はさまざまな料理に応用できるので水煮缶をよく使います。野菜炒めやカレーといったメニューに、お肉の代わりにサバ缶を加えるだけでOKですし、キムチとゴマを加えて混ぜてご飯にのせて食べてもおいしいです。ぜひ買い置きしてほしい食材の1つですね。このように工夫しながら、週1~2回はへム鉄の含まれる食材を摂取しましょう。
そしてへム鉄だけでは足りない分は、非へム鉄の含まれる食材を毎日摂取して補いましょう。非ヘム鉄の吸収率は5%程度と低いのですが、ビタミンCと一緒にとると吸収されやすくなります。小松菜やほうれん草などの青菜類などは、鉄とビタミンCを両方含んでいるのでおすすめです。また、動物性食品ですが卵には非へム鉄が含まれていますので、朝ご飯に目玉焼きとオレンジジュースをつければ、効果的に鉄分を摂取できるでしょう。
サプリメントにはできるだけ頼らずに
鉄は、含まれる食材が少なく、ほかの栄養素に比べ吸収率も低いため、毎日の食事だけ補うのが難しいのは事実です。そのため、鉄を手軽に補給できるサプリメントが販売されています。ただ、成長期のお子さまはできるだけ食事から栄養をとりたいものです。サプリメントには、飲みやすくするために砂糖や油などが含まれているものもあるからです。また、サプリメントから栄養をとることに頼ってしまうと、食事からの栄養の吸収率が低下するという研究もあります。鉄の多く含まれる食材を選ぶなどし、できるだけ食事から鉄をとれるようにしていただきたいですね。
もしも、食事だけでは難しい場合は、鉄入りの飲料や乳製品が販売されていますので、それらを活用するのが良いと思います。なかには砂糖も含まれておらず、1日分の鉄分を補給できる飲料などが販売されています。原材料表示をチェックし、できるだけ添加物の少ないものを選び、鉄分補給のサブアイテムとして利用していただければと思います。
また、南部鉄器などの鉄の調理器具で調理をすると、鉄分が少しずつ溶け出し、わずかではありますが鉄分補給が可能です。こうした方法もお試しいただきながら、上手に鉄分を補給していただきたいですね。