2017/04/21
[特別編:2] アクティブ・ラーニングの実践から授業改善のためのポイントを探る(座談会 後編) [3/4]
学び合いのよさに気づかせ、学びに付加価値をつける
清水:今の生徒たちは、インターネットなどを通して、いつでもどこにいても知識を手に入れられることを念頭に置く必要があります。だから、付加価値がないと、生徒は学ぼうとしません。例えば、生徒が突拍子もない発言をして、周囲が笑ったとします。そこで、教師に受け止める余裕があり、なぜそう答えたのかを掘り下げて聞いてみることができれば、意外と面白い理由があると分かり、ほかの生徒たちは自分の考えが至らなかった点に気づくこともあります。そうした思いがけない広がりが、協働的な学びのよさであり、1つの付加価値だと考えています。
工藤:生徒自身が学び合いのよさに気づくことは大事だと思います。本校では、漫然とグループ学習をさせるのではなく、1年生の1学期には特に目的やルールをしっかり説明します。そのうちに、生徒が「先生から教えられるより楽しい」「学びが深まりやすい」などと実感し、自分たちで話し合いをうまく進められるようになります。
また、グループ学習を取り入れた授業を通して、考え方や問題へのアプローチがどう変わったのかを生徒に聞いたところ、「自分と先生の意見だけでは考えが偏るが、多くの人と意見を交わすことで、多様なものの見方が身についたと思う」「自分では全く分からない問題でも、様々な角度から解釈するようになって、問題が解けるようになった」「解答を1つに決めつけなくなった」といった声が寄せられました。
藤井:本校では和歌を解釈する国語の授業で、1つのクラスはそれぞれの解釈とそう考えた理由を伝え合うペアワークを主体とした授業、もう1つのクラスは従来型の講義形式の授業をしたことがあります。すると、その後のテストでは、ペアワークをしたクラスの方が、定期テストの平均点が10点ほど上回りました。この経験からも、対話による学び合いは、理解を深める上で有効だと感じています。今後も、協働的な学びを通して知識の深い理解と思考力などの育成につながる学びを充実させていき、教師の指導も個の実践から組織の実践へと取り組みを深めていきたいと思います。
—— 実践上の視点から多くのご提案をいただき、どうもありがとうございました。