保育士も実践している「片付け上手」な子に育てるテクニック

ご家庭の中でも、成長して学校や社会に出てからも、「片付け」は生きていくうえで必要なスキルです。小さなうちから身につけさせたいけれど、気づけば今日もおもちゃは出しっ放し…。そんなふうに、小さなお子さまの「片付け」問題に頭を悩ませている保護者のかたは多いのではないでしょうか。
そこで参考になるのが、保育士のテクニックです。保育園や幼稚園では毎日たくさんの乳幼児が思いきり遊んでいますが、きちんと整頓され、園児たちは時間になると片付けをしています。いったいどんな秘密があるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。

片付けしたくなる環境づくりのポイント4つ

【ポイント1】モノの指定席をつくる
おもちゃの種類や遊ぶシーンによって、片付け場所を決めます。
小さなお子さまには、赤色・青色・黄色などわかりやすい「色」の箱を使うと効果的です。その際「どの色に入れるのかな?」など、お子さま自身に決めてもらうと、進んで片付けようという気持ちが生まれます。

【ポイント2】箱にイラストや写真を貼る
小さなお子さまにとっては、パッと見てその箱に何をしまえばいいかわかることが大切です。「ここには◯◯をしまおう」と頭で考えさせるよりも、視覚的にわかりやすくすることで、片付けがより楽しく、早くできるようになるためです。
お子さまの集中力は長くはもちません。短い時間にパッと片付けができるということは大きなポイントとなります。そのため、保育園や幼稚園では、収納ボックスに、そこに入れるべきおもちゃのイラストや写真を貼るなどの工夫をしています。

【ポイント3】カラーボックスは横に使う
おもちゃの収納棚としておすすめなのが、手頃な価格で入手できる市販のカラーボックスです。ポイントは横にして使うこと。小さなお子さまの目線より低い位置になるので、片付けやすくなります。

【ポイント4】絵本は表紙が見えるようにしまう
お子さまが自分で選んだり片付けたりするときにスムーズに出し入れできるように、絵本の表紙が見えるように収納する家具を使っている保育園や幼稚園が多いようです。まだ字の読めない小さなお子さまは、タイトルではなく表紙の絵で絵本を覚えていたり、絵の雰囲気や色を見て絵本を選んでいたりするためです。
ある保育園では、それまで大人の本棚と同じように背表紙が並んでいる絵本棚から表紙の見えるものに変えたところ、絵本を読みたがるお子さまが増えたということがあったようです。片付けも自然とできるため、飛び出している絵本が並んでいた以前と比べてキレイに絵本が片付けられるようにもなったそうです。

「片付け上手」を育てる声のかけ方のポイント3つ

【1】音楽を取り入れる
保育園や幼稚園では片付けをする際、毎回決まった音楽を流していることがあります。その音楽を聴けば自然と「お片付けの時間だ」と理解できるようになるのです。毎日続けることが肝心です。
あるクラスでは、保育士がいくら言ってもなかなかお片付けができず困っていたときに、突然ピアノを弾いてお子さまの注意を引き、落ち着いたところで片付けを促したら、素直にできるようになったという話もあります。その後は、その曲を弾くと自然と片付けの時間だとお子さまたち自身で気が付けるようになったそうです。
ただし、曲選びには注意も必要です。お子さまがノリノリになって歌ったり踊ったりしてしまっては逆効果なので、歌詞のない音楽などが向いているでしょう。

【2】「今はここまで」と「続きはいつできるか」を具体的に伝える
片付けの際、「まだ遊びたい!」と主張するお子さまも多いでしょう。小さなお子さまにとって、集中できることが見つかるのは成長の証でもあります。
頭から否定するのではなく、「今はごはんの時間だからここまでやったら終わりにしようね」「お昼寝から起きたら続きができるよ」などと、「今できない理由」と「続きはいつできるか」を伝えましょう。
保育園では、まずお子さまの気持ちを受け止めるようにしています。お子さまが何かを主張するときは、大人にとっては困った行動でも、お子さまにとっては気持ちをないがしろにされた気持ちになることがあるためです。
そのため、「片付けしたくない」気持ちをまず受け止めたうえで代替案として「続きはいつやろうね」と声をかけることを大切にしているそうです。

【3】お子さまが恥ずかしくなるくらいほめる
いいことをしたら思いきりほめることは、保育士がよく実践している方法です。少しでも片付けができたら、「もうお片付けできるなんて、お兄さん(お姉さん)になったね!」などと声をかけましょう。
なかなか片付けができない子を根気強く見守り、お子さまに片付ける気がなくとも、片付ける場所におもちゃを置いた瞬間に大げさにほめたことで、「片付けをする=ほめられる」と気付き片付けられるようになった、という保育士さんの体験談もあるようです。
ポイントは、「片付けができること=成長したこと、すごいことの証」とお子さまがとらえられる言葉をかけること。そして、お子さまが恥ずかしくなるくらい大げさにほめることです。ほめられればうれしいので、「片付け=面倒くさい」といったネガティブなイメージが減っていくでしょう。

「とりあえず全部まとめてポイ」はNG!

一番やってはいけない片付け方は、何もかもまとめて大きな箱や棚に「とりあえずポイ!」と放り込んでしまうことです。
一見すると手っ取り早い方法ですが、これは「その場しのぎ」でしかありません。
なぜなら、次に遊ぶとき、お子さまは目的のおもちゃを探すために箱をひっくり返して全てのおもちゃを出してしまいます。すぐに見つからずお子さまはイライラするでしょうし、部屋は一気に散らかります。それをあとからまた全て片付けるのは、お子さまだけでは難しいでしょう。
また、一つひとつのおもちゃを大事にする心も育ちにくく、成長してからも整理整頓ができない大人になってしまう可能性が高いのです。
そのため、全部をまとめてポイできる大きな箱や棚を用意するのではなく、種類ごとの箱や置き場を用意してあげることがコツとなります。そのなかではざっくりしまっておけるよう、範囲を絞ったうえで片付けしやすい環境を用意しておくとお子さま自身で片付けをする習慣がついていきます。

いかがでしたか?これらを実践することで、お子さま自身にとっても保護者のかたにとっても、片付けの時間が少しでも楽しいものになれば幸いです。

プロフィール

監修:土屋菜々

玉川大学教育学部乳幼児発達学科2010年卒/保育士資格、幼稚園教諭免許保持。子育てに関する記事の執筆も手掛けるライター。

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