学校で「色覚異常」の可能性を指摘されたら…程度によって異なる対応の違い

現在、「色覚検査」は小学校・中学校で義務付けされていませんが、学校生活を通じてお子さまの「色の見え方が違うかもしれない」と指摘されたり、ご家庭でも色について他の人と違うことを言っていたりする場合、「色覚異常」である可能性があります。もし色覚異常であった場合、どのように対応していけばいいのでしょうか。

色覚異常は、「色の見え方が人と異なる」こと

正常な色覚の場合、赤、緑、青の3原色の組み合わせで眼に映るすべての色を感じています。それは、人の網膜に3種類の錐体細胞(すいたいさいぼう)と呼ばれる視細胞があり、赤色、緑色、青色のそれぞれの色に反応するため。
先天色覚異常は、この3種類の錐体のどれかに異常があったり、3種類の錐体すべてに先天的に何らかの異常がある状態です。
学校で検出される色覚異常の多くは、先天性の赤緑色覚異常。これは、赤色または緑色に感じる錐体細胞のどちらかの異常です。

色覚異常はほとんどが先天性(遺伝)であり、20人に1人という高い割合で起こります。また、女性よりも男性に多く、日本人では男性の5%、女性の0.2%ほどの確率だと言われています。色覚異常は病気ではなく、見え方の個性。重要なのは子どもの色覚異常の程度を知り、日常生活でどんなサポートが必要なのかを確認することだと考えましょう。

どんな人が見ても判断できる「ユニバーサルデザイン」とは

現在、「どんな人にも理解しやすいデザインであること」の重要性が訴えられています。ユニバーサルデザインとは、すべての人にとって使いやすいように意図して作られた製品や情報、環境のことです。色のユニバーサルデザインとしては、見え方のタイプの違いを問わず、誰でもわかりやすいよう工夫されたデザインのことです。

学校の中にもユニバーサルデザインが活用されています。色で答える問題が減っていたり、色だけでなく文字やピクトグラムでの説明を必ずつけるようになっていたりと、配慮されているのです。ご自宅では、テレビのリモコンなどにも工夫が見られます。色付きのボタンの下に、「青」「黄」など、色の名前が出ているものが多いはず。これも工夫のひとつです。

学校での対応について

学校で困ることがあるとすれば、先にふれた「色で答える」という質問や、「○色のところに集まる」など色で判断して行動しなければならない場合でしょう。また、黒板に使われるチョークの色、ホワイトボードに使われるペンの色も程度によっては見えにくいので、別の色を利用してもらう必要があります。

このような対応をお願いするには、まずお子さまが「どんなふうに見えているのか」「どんな色を見にくいと感じているのか」を知る必要があります。眼科医に相談し、確認を進めてください。

子どもにストレスのないよう適切なサポートを

「色の見え方が弱い」というのはただの個人差の問題。子ども自身にもそのように考えさせ、ストレスを感じなくてもすむようサポートしていきましょう。 中学校・高校では本人も自分の状況をきちんと自覚して自分から先生に訴えることができ、クラスメイトにも色覚異常の友達が数名いるなどの環境から、ストレスを感じることは少ないようです。小学生の場合はまだ保護者のサポートが必要だと考え、医師や学校との連携を意識していきましょう。

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