行儀がよくなければスポーツもできない? 教育評論家がその謎を解く
「健全な精神は健全な肉体に宿る」といったような言葉をよく耳にするが、生活面がしっかりしていなければ、習い事などで才能が伸びることはないのだろうか。ベネッセ教育情報サイトに寄せられたそうした保護者の声に、教育評論家の親野智可等氏が答えてくれた。
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【質問】
息子のサッカーチームの監督が、「靴の整頓ができない子はサッカーもうまくならない」と言います。ちょっと違うような気がします。(小2年生 男子の保護者)
【親野氏のアドバイス】
私はあまり賛成できませんが、こういう言い方をする人はいますね。つまり、「脱いだ靴を整頓するくらいの自己管理力がないようでは、何をやってもうまくならない」と言いたいのだと思います。
でも、あまりこういうことにこだわらないほうがいいと思います。なぜなら、勉強ができなくて宿題もさぼりがちだけど、野球だけは好きでがんばっているという子もいるからです。
話を少し広げて考えてみると、この監督のような言い方は私たちの周りのいたるところで見受けられます。つまり、無関係なことを関係づけて、教訓的な内容を語るという言い方です。
たとえば次のようなものです。
(1) 頭がいい人は机の中もきれい
(2) 文字は人なり。文字がきれいない人は、人間的にも立派だ
(3) 食べ物の好き嫌いがあると、人間関係でも好き嫌いをするようになる
(4) 健全な精神は健全な肉体に宿る
こういう言い方はすべて一面的なものであり、全面的に正しいわけではありません。自分ががんばるというのはとてもいいことなのですが、他人に求めていると、その人を伸ばすことはできません。苦手なことには目をつむって、先に伸ばせるところをどんどん伸ばしてあげた方がいい循環が始まるのです。
出典:靴の整頓ができないとサッカーもうまくならない?[教えて!親野先生] -ベネッセ教育情報サイト