日常の対策を徹底し、わが子の犯罪被害を未然に防ごう
中学生になると、部活や塾で帰りが遅くなったり、友達と繁華街で遊んだり、保護者の目から離れて行動する時間が長くなります。日常の中にどのような危険が潜んでいるのかを把握し、親子で話し合ってルールを決めて、犯罪被害を未然に防ぎましょう。
犯罪被害を最も受けやすい場所は——「駐車(輪)場」
最初に、中学生が狙われやすい犯罪の傾向を把握しましょう。2013年の中学生の犯罪被害件数は、次のとおりです(警察庁「平成25年犯罪情勢」)。
【1】窃盗(3万9962件)
【2】傷害(1453件)
【3】暴行(1235件)
【4】強制わいせつ(589件)
【5】恐喝(400件)
【6】公然わいせつ(161件)
【7】強姦(109件)
【8】脅迫(108件)
【9】詐欺(27件)
【10】強盗(26件)
次に、中学生の場所別被害の発生状況です。
【1】駐車(輪)場(1万8182件)
【2】道路上(6986件)
【3】共同住宅(6025件)
【4】一戸建住宅(4759件)
【5】学校(1563件)
【6】都市公園(1364件)
【7】駅・鉄道施設(327件)
中学生の犯罪被害は「窃盗」が突出して多く、次いで「傷害」や「暴行」「強制わいせつ」など、さまざまな被害に遭っていることが分かります。なお、傷害と暴行の違いは分かりにくいのですが、相手に暴行をしたら「暴行」、それで相手がケガをしたら「傷害」となります。一方、犯罪被害の場所は、全体の4割近くを駐車(輪)場が占めています。その他、「道路上」「学校」「都市公園」など、いろいろな場所に危険は潜んでいます。
場所や状況に応じて起こりやすい犯罪を知ろう
次に、犯罪被害の傾向を踏まえ、場所や状況ごとに対策を考えましょう。
●駐車(輪)場
・駐車(輪)場は死角が多く、人目につきにくいことから犯罪を呼び込みやすい場所です。窃盗の他、無理やり連れ込まれての暴行や恐喝、また停車した車内に引っ張り込まれるなどの事案もあります。夜間やひと気が少ないエリアの駐車(輪)場は、特に注意が必要です。
・駐輪場を利用する場合は事前に保護者とともに安全性を確認しましょう。駐輪する際は、周囲から見えにくい場所や暗い場所はできるだけ避けるようにします。危険が予想される場合は、防犯ブザーを用意しましょう。
●繁華街・道路上
・繁華街などでは、路地や死角に連れて行かれて、恐喝、いわゆるカツアゲをされたり、暴行を受けたりする危険があります。子どものたまり場になりやすいゲームセンターやカラオケボックスなどの娯楽施設では、特に注意が必要です。普段から親子で危険なエリアやお店を確認し、なるべく子どもだけで足を運ばないようにする他、余分なお金は持ち歩かないようにしましょう。
・ひと気の少ない道路などでは、痴漢や公然わいせつなどの性犯罪が起こりやすくなります。また、車から声をかけられ、近づいた瞬間にドアを開けて車内に引っ張り込むといった犯罪もあります。特に夜間は極力一人歩きを避け、防犯ブザーを携帯するようにしましょう。
●自宅
・マンションなどのエレベーターでは、体を触られるなどの被害が発生しています。知らない人と二人きりで乗らないようにして、途中で知らない人が乗ってきたら近くの階で降りるようにしましょう。
・自宅の鍵を開けた瞬間に後ろから押されて室内に押し込まれたという事件があります。周囲を見回して安全を確認してから鍵を開ける習慣を付けましょう。
・階段や踊り場、屋上は人目に付きにくいので注意しましょう。
●電車内
・通学で電車を利用する場合は痴漢被害に気をつけ、女性専用車両を積極的に利用しましょう。常に使える状態で防犯ブザーを携帯しておくのも効果的です。被害に遭ったら周囲の人に訴えるか、電車を降りて駅員に伝えましょう。
◆深夜の徘徊
・夜間の街なかの徘徊は、恐喝や暴行、性犯罪などに遭う危険が高まり、喫煙や飲酒などの非行のきっかけにもなります。家庭で門限を決め、夜間に子どもだけで外出しないことを約束させましょう。
◆インターネット利用
・携帯電話やスマートフォン、パソコンは、今や中学生にとっても欠かせない通信手段となっていますが、これは、保護者の目の届かないところで子どもがトラブルに巻き込まれる危険が高まっていることを意味します。出会い系サイトやコミュニティサイト(SNS、プロフィールサイト)は、児童買春や児童ポルノなどの被害のきっかけとなりますから、子どもの携帯電話などにフィルタリングを行い、有害なサイトへのアクセスを遮断してください。そのうえで、出会い系サイトなどにアクセスしないこと、もしサイトで誰かと知り合っても絶対に会わないことを約束させましょう。
犯罪被害を防ぐためには、子どもの防犯意識を高めることも不可欠です。好奇心が高まり、大人の世界を覗いてみたい——といった気持ちも起こりやすい年頃ですが、しっかりと話し合い、危険なことは危険と教え、親子がお互いに納得したうえでルールを決めることが重要です。