「判断する力」に必要 子どもの勇気と覚悟を育てるには
これからの社会は「正解がない時代」であり、答えを出さずにやり過ごすことはできなくなると予想されている。つまり、自分でどうするかを決めて、行動せねばならないのだ。学校でも知識の習得より、それを使う力を育む態勢にシフトしつつある。ベネッセ教育総合研究所の小泉和義氏に、詳しく伺った。
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これまで学校では、「知識や技能の習得」に力を入れてきました。でも今は、習得した知識や技能を使って、「考える力、判断する力、表現する力」の育成に力を入れています。「判断する力」の育成では、子どもたちが「根拠に基づいて意見を言ったり判断したりすること」を重視されます。裏付けとなる理由や根拠があると、その意見や判断に説得力が生まれます。そして、意見や判断をもとに、自分で決めたことに自信を持てるようになるのです。
また、好き・嫌いとは別の客観的な情報を集めることで、どちらを選ぶかを判断しやすくなり、決めたときの納得感も増します。根拠となる判断材料を集めることは、決める力を育てるために必要ですが、それだけで十分ではありません。何かを決めるときには、何かを捨てなければならないこともあり、理屈だけで解決できない感情が含まれる場合もあるからです。少し大げさに言うなら、決めるためには「勇気」と「覚悟」が伴います。そしてこの「勇気」や「覚悟」は、これからの社会を生きていくために必要なスピリット(精神)だと思います。
ご家庭でどちらかを選んだり、決めたりする場面があったとします。お子さんが自分でどちらかに決められたなら、「なぜそう決めたの?」と聞いてみましょう。「どっちでもいいよ」と言ってきたら、「どっちが好きなの?」とさらに聞きます。ささいな会話ですが、子ども自身が決める機会をたくさん作ることで、「決める勇気」と「決める覚悟」を少しずつ育てることができるのではないでしょうか。
出典:「決める勇気」と「決める覚悟」[中学受験] -ベネッセ教育情報サイト