【小論文書き方講座4】問題文中の資料を読み解く際のコツ

小論文の問題に取り組む際に、書く前段階の資料を読みとる部分でつまずいてはいませんか?
そこで、今回は効果的な資料の読みとり方をご紹介します。ポイントをつかんで読解練習を積んでいけば、苦手意識もなくなり、よりよい小論文が書ける力が身につきます。

資料文読解の攻略法は、4つのポイントがカギ!

小論文の問題で、資料文が提示される<資料小論文>の出題形式の場合、資料文の正確な読みとり(=筆者の考えを正確に読みとること)が、よい小論文を書くための出発点になります。
しかし、限られた時間のなかで、読む→考える→書くというステップを踏まなければならない入試本番では、ただ漫然と読んでいるだけでは、時間が過ぎるばかりで、重要なポイントも頭に入りません。
そこで、資料文の骨格がつかめる読解法として次の4つのポイントを紹介します。
資料文から読みとる4つのポイント

① 論点
——筆者は何について書いているのか

筆者は読者に何かを伝えるために、文章を書いています。論点とは、筆者にその文章を書かせた問題意識、または問いかけです。「○○とは何だろうか」「△△は必要だろうか」など、疑問形で示されていることもありますが、はっきりと書かれていない場合もあります。そんな時は、筆者の意見から自分で推測することが必要になります。

② 意見
——筆者が一番言いたいこと。結論

意見とは、論点への答えになります。多くの場合、文章中のここぞというところに書かれています。ただし、エッセイなどでは、遠回しな言い方で書かれていることもあります。
「要するに」「つまり」といった接続詞がヒントになります。

③ 理由(論拠)
——意見の理由・根拠

筆者がなぜ、そう考えるのかを、具体例や原因・背景などを挙げながら説明するところです。

④ 根本思想
——その文章を支えている筆者の価値観

文章全体を支えている筆者のものの考え方や価値観です。文章中には直接書かれていないことが多いので、筆者の主張から、その根っこにある思いをつかんでいきます。
「筆者の問いは何か」「要するに筆者は何が言いたいのか」「その理由は何か」「筆者はどんな思いでこの文章を書いているのか」、この4つのポイントをつかみとることこそが、資料文読みとりの近道となるのです。
ただ、提示される資料文は1つとは限りません。複数の資料文が提示される場合もあります。その場合には、
1. この出題では、最終的に何が問われているのかを考えます。
2. 各資料の共通点・相違点を押さえ、それぞれの資料の役割を考えます。
各資料の間には必ず、なんらかの共通したテーマがあり、そのテーマに対してそれぞれ違う役割を果たしているからこそ、複数の資料が提示されるのです。
まずは、資料同士の関係をつかむことが大切です。そのうえで、それぞれの資料の主張と理由(論拠)を読みとっていきましょう。
また、資料文に新聞記事などを使用している出題も多く見られます。
新聞記事など、事実や具体例だけが述べられている資料については、「事実や具体例の背景には、どのような問題があるのか?」を考えながら、読んでいくといいでしょう。
これを的確に読みとるためには、事実についての知識も必要となるので、日頃からの情報収集も大切になります。

図表資料の読みとりのコツは?

小論文の問題では、文章だけでなく数値データなどを扱った図表資料を読みとるものも多くあります。特に医学系学部や自然科学系学部、社会系学部では頻出と言ってもよいでしょう。
図表資料には、筆者の主張などはありません。では、何をどのように読みとればいいのか、押さえるべきポイントを紹介します。

1.データの概要を確認する

図表資料を読む時は、まずタイトルを確認し何を明らかにするためのデータか押さえます。
次に、調査の期間や対象、どこが発表したデータか、どのような条件のもとで得られたデータかなどを押さえておきます。
例えば、「一週間に、何回家族そろって食事をしたか」を問うアンケートの場合、回答者の性別や年齢、家族構成などにより読みとれる特徴は異なってくるからです。目的や対象によって、データが示す意味が変わってくることもあるのです。

2.データは、どのような傾向を示しているかを読みとる

図表の内容を読みとる時は、全体→細部の順に確認します。まずは、データの突出した部分や数値の偏り、特徴的な変化(動き)など、データの全体の傾向を大まかにつかみます。
さらに、その項目と同じ変化(動き)をする項目、相反する変化(動き)をする項目はあるか、細部の特徴に目を向けます。
ここで大切なのは、先入観や憶測を交えずに、「誰が見ても確実な情報」を押さえることです。

また、複数の図表資料が出される問題もあります。その場合には、上の手順で個々のデータを読みとった後に、共通点・相違点は何かなど、それぞれの図表を組み合わせて読み取れること、全体を読みとって言えることを押さえることが必要となります。
いずれの資料が出された場合も、そこに示された内容を客観的に読みとることが重要なポイントです。

文/進研ゼミ高校講座 受験情報担当 ライター 伊藤

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