この夏、時事問題をどう学ぶか? ~18歳選挙権に注目!~ [中学受験 6年生]
中学入試において、ほとんどの学校で出題される時事問題。2017年度入試で多く取り上げられると予想されるのが「18歳選挙権」です。そこで、18歳選挙権を入り口に、家族で時事問題を学ぶポイントについてお話しします。
出題予想NO.1! 「18歳選挙権」
2016年6月19日に改正公職選挙法が施行され、選挙権を持つ年齢は「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられました。その結果、今まで選挙権のなかった18歳、19歳の約240万人が投票に行けるようになりました。
7月10日の参議院議員選挙は、国政選挙として初めて18歳選挙権が適用されました。また、7月31日には東京都知事選挙が、9月以降にもいくつかの自治体で地方選挙があります。「選挙」を知識として学ばせるより、現在進行形の選挙について話題にしたり、投票の現場を見せたりするほうがずっと身に付きます。ぜひ、選挙の前に、選挙公報を見ながら、ご家族で議論をしてみてください。
選挙の「争点」一つひとつが「時事問題」
たとえば参議院選挙なら、憲法改正、アベノミクスの是非、消費税、福祉などが大きな争点となっていますし、地方選挙なら、地域活性化や雇用の拡大、待機児童や医療費の問題、環境問題など、地域の経済や福祉に関するさらに身近なことが議論されるでしょう。
ところが、選挙公報だけを眺めたり、日々のニュースを見たりしていても、各候補や党派の主張がどこで対立しているのか、大人でもわかりにくい面があります。対立の裏側には、多くの場合、利害関係があります。そこで、ぜひ子ども向けの新聞などでわかりやすい解説を見つけ、一つひとつの争点について解説してあげてください。これらの争点一つひとつが「時事問題」といえるのです。
「模擬選挙」体験で考えるきっかけを
たとえばご親戚に入院の経験があるかたがいれば、その事実を材料に医療費の問題などを話し合ってみると、保護者のかた、ご本人ときょうだいで意見が違うかもしれません。なぜその意見なのか、お互いの言い分を否定せずに聞きながら話し合っていくと、考えが深まります。
そんなふうに、いくつかの争点を検討したうえで、自分なら誰に投票するかなどご本人に決めてもらい話し合うとよいですね。
時事問題は「とば口」 まずはなじむこと
多くの塾では、前年度の中学受験で問われた時事問題を集め、解説した時事問題集が出されます。その中には、中学側の出題意図をまとめたものもありますので、ぜひ参考になさってください。
なお、多くの入試問題において、時事問題が単なる「とば口」、質問のきっかけとして用いられることが多いのも事実です。時事問題に絡めて、関連する地理や歴史の知識を問う問題も多く、その場合、ニュースや時事用語を知らなくても解くことはできます。ただし、「こんなニュース、知らない!」と感じた瞬間、すくんでしまうお子さまも多いので、慣れておくに越したことはありません。
いきなり入試レベルの時事問題に取り組むのは難しいものです。この夏は、「時事問題」の前に、ぜひ時事問題についてご家族で話し合う「時事話題」の時間を持っていただきたいと思います。それが、お子さまの思考力を高めることにつながります。
(筆者:森上展安)