国語の知識問題が苦手です。どうしたら改善できますか? [中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す保護者のかたから寄せられた疑問に、実践的なアドバイスをします。

【質問】
言葉の表現や使い方などを覚えきれていないようで、国語で知識を問われる問題が苦手です。そもそも、それらを理解できていないことが原因なのかもしれません。普段の生活で改善できることはありますか。
相談者:小6女子(神経質なタイプ)のお母さま

【回答】
「完璧」にこだわりすぎない

■漢字や言葉は低学年なら読書、高学年なら単語帳で学習

国語の知識問題というと、漢字、慣用句、ことわざ、文法、文学史などがあります。どれも一朝一夕には覚えられないものばかりで、日々の積み重ね学習が大切な分野だと思います。たとえば、漢字や慣用句などの語彙(ごい)は、低学年からの読書が効果的でしょう。書くことはともかくとして、読み方や意味は自然に覚えてしまいますから、効率的な学習法だと思います。ただし、高学年になると、本を読む時間がなかなかとれなくなるのも事実です。もっと短時間で漢字や言葉を覚える必要が出てきますから、やはり漢字や言葉の単語帳やドリルを使用しての勉強になるでしょう。ただし、「苦手で覚えきれない」ということですから、少し学習方法をチェックする必要があると思います。

■完璧に覚えようとしすぎていないか?

記憶力が良い人と悪い人は、確かにいると思います。でも、記憶力が悪いという人でも、覚え方が悪いだけの場合が少なくありません。たとえば、記憶は繰り返し覚えることで、より長期の記憶になります。また、何かに関連付けて覚えるとか、実際に使ってみることで忘れにくくなるといわれています。普段の生活で覚えた言葉を使ってみるのも効果的です。長期の記憶にするために、ぜひこうした方法で勉強を進めていきましょう。

ところで、「知識問題などが苦手で覚えきれない」ことに関して、お子さまの性格的な面で一つ気になるところがあります。それは、「神経質なタイプ」ということです。もちろん一概にはいえませんが、このタイプの人には「完璧主義者」が多いようです。そうした人が、たとえば漢字のドリルを勉強しようとすると、完全に覚えようとして、なかなか先に進みません。

1日10個覚えれば10日で100個になりますが、完全に覚えたかどうかまとめのテストをすると、10%くらいは忘れてしまっています。「やれやれ……」と思いながら、最初から覚え直して、今度は200個まできますが、またまとめのテストをすると、やはり10%くらい忘れている。そこで、しかたなく最初から勉強しだす……という具合になります。これではいつまでたっても終わりません。最後には嫌になってやめてしまう。こんなことが今までにあったのではないでしょうか? 完璧主義の人には、「完璧にできないと、放置してあきらめてしまう」という悪い癖があるのです。

■枝葉末節にこだわって根本を損なってはいけない

一生懸命マスターしようという姿勢はいいのですが、あまりにも几帳面(きちょうめん)にやると、かえって効率が悪くなる場合があります。「覚えたものは忘れるものだ」というくらいの気持ちで、「80%覚えればそれでよし」という具合にどんどん進めて、最後まで終わったらまた最初から繰り返す。つまり、「はじから忘れても、また覚え直す」くらいの気持ちでいることが大切なのです。几帳面な人にはすごく気持ちの悪い勉強方法に思えるかもしれませんが、繰り返し勉強して、完全に近付ける(もちろん、100%は無理でしょうが……)という姿勢で勉強に臨むとよいでしょう。

こうした姿勢は、知識分野の文法や文学史にも通じます。たとえば、文法問題。「文法が好き」という人はあまりいないと思いますし、本当に勉強しようとすると大変な労力が必要になる分野です。覚えるべきことがたくさんあるばかりでなく、学者間でも論争になっていること、つまりまだはっきり決まっていないことがあるのが文法です。そうしたものを小学生がしっかりマスターしようと思うこと自体無理でしょう。

それではどうしたらよいか? 考え方としては、試験によく出てくる文法問題だけをとりあえずはできるようにする、ということで十分です。たとえば、「の」や「ない」の識別問題などはよく出てきます。あるいは、どの言葉がどこにかかるかという「修飾関係の問題」なども頻出です。そうした問題一つひとつなら、そんなに多くの時間をかけなくてもマスターできます。それをとりあえず勉強して、とりあえず解けるようになればよいのです。

「でも、他の文法問題は出ないの?」「出たらどうするの?」と心配する皆さんもいると思います。もちろん、他の文法問題も出る可能性はあります。そんな心配もよくわかります。でも、頻出でない文法問題は、多くの場合他の受験生もできないでしょう。他の人もできないくらい難しい問題ですから、いわゆる「ステ問」と考えてよいのです。そうした問題にこだわって、よく出る問題までも手を付けようとしないのは、枝葉末節にこだわって根本を損なっている勉強方法と言わざるを得ないでしょう。

■日々の着実なレベルアップが志望校合格につながる

文学史も同じです。多くの作家とその作品を覚えるのは、確かに骨が折れます。特に、読んでもいない作品名を覚えるのは、なんとも無駄なように感じるのは当然でしょう。しかも和歌や短歌の意味(鑑賞)まで含めれば、その数はまさに「もうたくさん!」というレベルになると思います。しかも文学史は、入試ではあまり出題されませんから、ほとほと嫌になります。でも、少しは出ます。出る可能性はあるのですから、やはりよく出る作家や作品は、受験生の常識レベルで覚えておく必要はあります。つまり、入試問題や模擬試験に出たものだけはとりあえず覚えておこうでよいのです。頻出のものでしたらまた出てきますから、もし覚えていなかったら、また覚え直せばよいのです。

こうした勉強方法は、完璧主義の子どもには何かぬるい勉強方法に思えるかもしれません。しかし、そこまで完璧に勉強する時間がまずないのが受験勉強です。「とにかく出そうなものを、とにかく覚える」といったやり方でやっていくと、少しずつ知識問題で得点できるようになってきます。そうなってくると「知識問題が苦手」という意識も消えていくと思います。

こうした学習の姿勢は実は知識問題だけではありません。他の教科にしても、完全にマスターしようとしてもなかなかできるものではないのです。「昨日より今日のほうが、少し知識が増えた」「解ける問題が多くなった」という日々の着実なレベルアップが、最終的には志望校合格につながるのだと思います。

(筆者:小泉浩明)

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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