国語の知識問題が苦手で、テストの点数も3割近く減点されてしまいます[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
【質問】
国語の知識問題が苦手なようです。テストの点数もそれが原因で3割近く減点されてしまいます。自分でも知識問題は点数をとっておくところだと認識しているようですが、なかなか一両日でできるものではなく詰め込みきれません。大人が普通に使っている言葉が理解できていないのに、難しい社会や理科の言葉を知っているという逆転が起きているようです。また、志望している学校は逗子開成中学校です。何かよい改善方法はないでしょうか?
相談者:小6男子(大ざっぱで感情的なタイプ)のお母さま
【回答】
言葉に関する知識は必須、文法や文学史は志望校に合わせて
■知識問題とは何か
知識の問題というのは、「漢字の書き取り・読み取り」「慣用句」「ことわざ」「故事成語」「文法問題」「文学史」などに関する知識を試す問題です。コツコツと勉強しないと、一朝一夕には身に付かないでしょう。特に、大ざっぱな性格の子どもにとっては苦手な分野だと思います。なお、ご質問の中に「詰め込みきれない」という表現がありましたが、漢字やことわざなどの知識は「詰め込み」ではなかなか身に付きません。“詰め込む”というと、大量の知識を一遍に暗記するというイメージですが、そのようなやり方ではすぐに忘れてしまうのです。漢字などの知識は毎日少しずつ、問題演習などを通して使いながら身に付けることが大切です。
■言葉に関する知識について
漢字の書き取り・読み取りは、すべての学校が出題すると思われる知識問題です。また、慣用句やことわざなどをくり返し出題する学校もあります。慣用句は「大人が普通に使っている言葉」ですが、こうした言葉は読書などによって身に付いていきます。慣用句が苦手な皆さんは、恐らく読書の習慣があまりなかったのでしょう。簡単な慣用句を知らないのに理科や社会の難しい言葉を知っているのは妙に感じるかもしれませんが、塾で勉強したから身に付いているのです。そんなに珍しいことではありません。
慣用句などの言葉の知識は、何としても身に付ける必要があります。試験までに時間がある中学年は読書から、高学年になって時間がない場合は、漢字のドリルや言葉の練習帳で毎日コツコツと勉強しましょう。やればやっただけの効果が期待できます。
■文法や文学史について
さて、文法や文学史はどうでしょう。文法と聞くとそれだけで拒否反応を起こすお子さまもいますが、実は文法問題はかなり出題範囲が絞れます。一から勉強をやり直すというよりも、出そうなところから勉強するのが効率的だと思います。たとえば、「敬語」、「『ない』や『の』の使い分け」など、毎年のようにどこかで出題されている文法事項は学習しておくべきでしょう。それほど時間をかけなくても、簡単にマスターできるものも少なくないでしょう。
文学史とは、文学作品を示してその作者を問う(あるいはその逆)などの問題が多いようです。読んだこともない作品の作者を丸暗記するのは、いかにも不毛な気もします。しかし、志望校に頻出であればある程度時間をかける必要はあります。少なくとも、有名な作家や作品は一般常識として知っておくべきかもしれませんが、それも志望校の出題傾向や頻度をチェックしてみてから判断すればよいでしょう。
■志望校の出題傾向を確認する
たとえば、お子さまの志望校は逗子開成ですが、2014年の設問数は20コで、そのうち知識問題は8つありました。内訳は漢字の書き取り・読み取り15題、文法、ことわざ、慣用句など盛りだくさんです。文学史はありませんでした。漢字だけでも少なくとも15点、設問全体を割合で考えれば、8/20で40%もあります。これだけの量の知識問題を出題しているのですから、知識問題重視の学校と言わざるを得ません。このような学校を受ける場合は、文学史はともかく他の知識問題に関しては時間をかけて勉強すべきでしょう。苦手なまま受験するのは、あまりにも不利です。
もし勉強する時間がなければ、知識問題のもっと少ない学校を受けることも考えたほうがよいかもしれません。ただし、問題文を読む時は漢字、慣用句、ことわざ、故事成語などの言葉の知識は充実させる必要がありますから、それだけは今からでも勉強すべきだと思います。