「エコツーリズム」で環境問題への取り組み方を学ぶ大学研究室

「エコツーリズム」で環境問題への取り組み方を学ぶ大学研究室日本が転換期を迎え、大学が大きく変わりつつある今、大学や学部をどう選び、何を学べば、子どもたちの将来が明るく照らされるのか。首都大学東京 都市環境学部 自然・文化ツーリズムコース、小崎隆教授の研究室を訪ね、話を聞いた。

 

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私は長年の土壌学の研究の中で、環境を一般市民のレベルから考える重要性に気付き、「新たなエコツーリズム」の価値について提唱しています。環境問題を抱えた土地を見に行くなど、環境の課題について考える機会をエコツーリズムと位置付け、これを生活につながる問題を知る機会にしてはどうかと考えています。

 

カザフスタンの砂漠の中に、2000年初めまでにそのほとんどが干上がったアラル海があります。ここでは、1960年代の冷戦時代、湖に流れ込む川の水を利用した灌漑(かんがい)農業が進められました。米ソ(現在のロシア)がおのおの、自分たちの技術を駆使すれば砂漠でも農作物ができるようになるのだ、というアピール合戦を繰り広げていたのです。

 

当時の灌漑農業は、アラル海に流れ込む川の水を砂漠にかけて農作物を作るという単純なものでした。しかし、砂漠に突然大量の水をかけると大きな環境問題を招きます。砂漠に染み込んだ水が蒸発する際に、土の中の養分(塩分)を地表面に引き上げ蓄積させていくのです。塩まみれの土地では、作物は育ちません。アラル海は干上がり、周りの農地とともに死んでいきました。

 

世界の環境問題は、専門家だけが知っていればよいというものではありません。一般のかたと環境の大切さやそれを守る術(すべ)を一緒になって考えていかなければならないと思っています。そのツールとなるのが、エコツーリズム。私は「エコツーリズムは地球を救う!」と学生たちに熱く呼びかけています。学生たちも、実際にエコツーリズムへ参加を決意したり、現地を調べ始めたりしています。

 

出典:首都大学東京 都市環境学部 自然・文化ツーリズムコース 新たなエコツーリズムが地球を救う! -ベネッセ教育情報サイト

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