テストの本番ではまちがえるのに、家で再挑戦させると正解できます[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

主語・述語がわからず、記述問題にまちがいが多いようです。理解力を向上させるため、文章を読む時は、筆者や登場人物になった気持ちで、作者が何を伝えようとしているのか、イメージさせて読み込む訓練などをさせています。それでもテストの本番ではまちがえてしまうのですが、自宅で再挑戦させると正解します。どうしてでしょうか。

相談者:小5男子(性格・大ざっぱなタイプ)のお母さま


【回答】

時間の不足や過度の緊張など原因はさまざま。


■試験場で考える時間が足りない?

「テストではまちがえるのですが、家で再度実施すると正解する」について考えてみましょう。まず考えられるのは、試験場で“考える時間が足りない”ということです。「読むのが遅い」「記述の答案を仕上げるのに時間がかかる」「抜き出し問題で時間を浪費する」など、時間が足りなくなる原因はさまざまです。時間が足りないと主語・述語問題でのまちがい、記述問題での誤字や“てにをは”のまちがいなどのケアレスミスが多くなります。選択肢問題なども雑に考えざるを得なくなり、いつもであれば選ぶことはないような誤った選択肢を選んでしまいます。
それでは、家で再度実施すると正解になるのはなぜでしょう。それは、既に1回問題文を読み、問いにも答えていますから、考える時間が十分にあるのかもしれません。読む力も解く力もあるので、考える時間さえあれば正解できるのではないでしょうか。

■時間が足りない場合の対策

時間が足りない場合の対策としては、まずは、どこで時間を使っているかをチェックしてその解決方法を見いだすことです。たとえば読むのが遅いかどうかは、他の人と比べてみればわかります。いちばん簡単なのは、同じ文章を保護者のかたとお子さまが同時に読んでみて、どのくらい差があるかを調べてみることでしょう。一般的に子どもより大人のほうが読むのは速いと思いますので、保護者のかたより少し遅れる程度なら問題ないでしょう。しかし、大人の2倍以上時間がかかるようなら遅いと言わざるを得ません。一般的に、大人が1分間に読む文字数は600文字ということですから、子どもでも500文字程度の速さはほしいところです。遅いことがわかったら、問題文を速く読む練習をするとよいでしょう。時間を意識し、集中力を高めて文章を読む練習をくり返すだけでも効果があると思います。

また、解答する速さに問題があるかどうかを見つけるには、実際にお子さまが問題を解いているところを遠目で見ているのがいちばんでしょう。もちろん、問題は初めて取り組むものがよいでしょう。特にチェックしたいところは、記述問題でじっと考え込んだり、あるいは書いたり消したりしていないかどうか。また、抜き出し問題で必要以上に時間を浪費していないかどうかなどです。記述問題の場合は、書く前にだいたいの構想を立ててから書き始めるとか、抜き出し問題はある程度考えて見つからなければパスして、最後に時間が余ったら考えるなど、テストのやり方を一緒に考えてあげればよいでしょう。

■精神的なものも原因になる

もう一つ考えられる原因としては、精神的なものがあります。試験場という日常ではない空間で、必要以上に緊張すると本来の力が出せない場合があります。いわゆる“あがってしまう”という状態で、こうなってしまうと家では考え付くようなことが答えられなかったりします。逆に、試験場に行くと“ぼっと”して集中できない子どももいます。考えるためにはある程度の緊張は必要ですから、それができないとやはりテストでよい点数をとることはできないでしょう。ある程度の緊張を持続させ、集中して問題に取り組むことが必要なのです。
さて、ここで一つチェックしたいことは、他の教科の時はどうかということです。たとえば、算数では本来の力が発揮できているのであれば、問題は国語だけに絞られます。しかし、他の教科でも国語と同じ現象が起きているのであれば、試験を受けること自体が苦手ということでしょう。こうした違いをチェックして、対策を立てる必要があります。

■試験に慣れ、自信を付けることで解決する

あがってしまうために本来の力が出せない場合は、模擬試験を何度も受験して試験慣れすることがいちばんでしょう。試験を隣で受けている人が気になるとか、後ろの人の鉛筆の音がうるさくて集中できないなど、気が散る原因はいくつもあるでしょう。しかし、何度も試験を受けることで、徐々に慣れて集中できるようになっていくはずです。あるいは、他の科目は問題ないのに、国語の時だけ集中できないのであれば、恐らく国語という科目に対する自信のなさに原因があると考えられます。そんな場合は、できなかったところを家でもう一度解いて、解けた時に、「大丈夫。あなたなら解ける」とくり返し自信を付けてあげることです。少しずつ自信が付いて、少々難しい問題でも、試験場で集中して問題に取り組めるようになると思います。

このように、試験場では解けないのに、家では解ける原因はいくつもあります。いずれにしても、本来の力が発揮されていないわけですから非常に残念ではあります。6年生になる前に原因を見つけ、早めに対処して弱点を克服していってください。正しい原因を見つけ、対処を誤らなければ必ず解決されていくと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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