語彙が乏しく、常識も欠けています。テレビを見ないせいかもしれません[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小5男子(性格:大ざっぱ・論理的なタイプ)のお母さま


質問

読書は好きなのですが語彙が乏しく、常識にも欠けているところがあります。テレビを見ないせいかもしれません。どうやって補ったらよいでしょうか。


小泉先生のアドバイス

学年を考えると、語彙力は単語の練習帳での学習が効果的。

●テレビで語彙力や常識は身に付くか?
「テレビを見ないせいか、語彙力が乏しい」「常識にも欠ける」ということですが、まずは、テレビでそういったものが身に付くのか、ということから考えていきましょう。結論からいえば、見る番組によると思います。しかも、その方面に関する語彙や常識(知識)が身に付くでしょう。たとえば、世界の社会・政治・経済に関するニュース番組や特集番組を選んでみていると、だんだんと現代の社会情勢などがわかってきます。一方、アニメやお笑い番組、ドラマなどではどうでしょうか。身に付く語彙や常識はあるとは思いますが、かなり限られたものになるでしょう。見ている時間の割には、獲得できる知識は少ないと思います。

●中学受験に必要な語彙力や常識とは?
そもそも、「語彙力がある」とか「常識がある」とはどういうことでしょう。ここではもう少し焦点を絞って、「中学受験に必要な語彙や常識」を考えた方がよいと思います。なぜなら、私たちはそれぞれの置かれた環境で、それぞれの語彙や常識は違ってくるからです。

中学受験に必要な語彙や常識も、小学生が一般的に学校で習う内容を大きく超えています。たとえば中学受験の国語の問題文は、中高生あるいは大人が読むような新書から出典されることが少なくありません。抽象的な熟語や慣用句、あまり使わないような故事成語などがよく出てきます。また、問題文には、「文化習慣」「言語コミュニケーション」「文芸論」などをテーマにした文章が頻出ですが、中学受験をしなければ、小学生がまずふれることのない内容ばかりです。中学受験生にとっての常識は、一般の小学生にとって常識とはいえないことが少なくないのです。

●語彙力や常識を身に付けるには?
このように、中学受験に必要な語彙や常識は多様で、しかも一般的な小学生にはなじみの薄いものが少なくありません。場当たり的にテレビを見たり本を読んだりしていても、なかなか身に付かないと思います。それではどうしたよいのでしょうか? やはり、受験に必要とされそうな知識に、優先的にふれていく方法が効率的です。

たとえば、受験の社会では、「時事問題」と称して、現代社会の問題点や話題に関する問いが頻出です。「時事問題対策」には、新聞(子ども新聞を含む)を読んだり、テレビのニュース番組を見たりすることが、非常に効果的です。また、国語において「言語・コミュニケーション」のテーマに関する問題文が苦手なら、それをテーマにした問題文を10本くらい読んでみるとよいでしょう。同じような内容であることが多く、読むことでそれらが常識として身に付いていくことでしょう。
このように、漠然と「何から」語彙や常識を身に付けようと考えるのではなく、「何を」身に付けたいから「何を使うか」と考えるべきだと思います。さらに、受験までに残された時間にも左右されることでしょう。たとえばお子さまの場合、5年生という学年を考えると、読書よりも単語の練習帳で毎日15分程度の学習を続ける方が語彙力をつけるには効果的だと思います。

●低学年から、日常から……
ただし、受験に必要な「語彙力」や「常識」を付けるために、本を読んだり、テレビを見たりするのは、あまり面白いこととはいえないでしょう。できれば、楽しみながら、興味を持ちながら学ぶのが理想です。そのためにはどうしたらよいでしょうか。それには、余裕を持って始めることです。たとえば、低学年や中学年であればまだまだ時間はあります。本を楽しみながら読んで、ついでに語彙も身に付けられることでしょう。

読書を学習とは考えずに、日常の中の楽しみとして習慣付けるのです。そして、その時に好きな本だけではなく、もっとジャンルを広げていろいろな本を読んでいきましょう。そうすれば、語彙はもちろん、受験に必要な常識も知らないうちに増えていきます。このような低学年からの、日常の生活の中での積み上げが、ゆるぎない知識や知恵を培っていくのだと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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