解き方のヒントを与える時によい方法があれば教えてください[中学受験合格言コラム]

解き方のヒントを与える時によい方法があれば教えてください

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


質問者

小5女子(性格:大ざっぱ・強気なタイプ)のお母さま


質問

算数の問題で、1つの解き方で解ける問題はすらすら解けるのですが、知識を組み合わせて解く応用問題になると、着眼点すら見つけられないことがあります。解き方のヒントを与える時によい方法があれば教えてください。


小泉先生のアドバイス

小出しにしながら、お子さまの実力に合ったヒントの出し方を探りましょう。

●ヒントはなぜ必要か?
「ヒント」を与えるのはなぜでしょう? それは、解いている本人に考えてもらいたいからです。もしヒントを与えずにいれば、解くことを諦めてしまうかもしれません。でも、解き方そのものを教えてしまっては、その時点で自分の頭で考えることをやめてしまうでしょう。そうなると、「その問題」は解けるようになるかもしれませんが、「似た問題」や「応用問題」は解けるようになりません。

このように適切なヒントをピンポイントで与えることは大切なことですが、同時に非常に難しいことでもあります。なぜなら、問題自体の難度や性質と共に、問題を解いているお子さま自身の学力や性格などを考えながらヒントを与える必要があるからです。そして、そのお子さまにとって最適なヒントが出された時、問題は見事に解け、しかも自分の力で解けたという達成感や自信をお子さまに与えることができるのです。

●ヒントの種類
算数でヒントを与えるということは、次に「何を(するのか)?」「どこに(するのか)?」「どのように(するのか)?」「なぜ・何のために(するのか)?」などを教えるということであり、これらが「ヒントの種類」ということになります。たとえば、「図1の斜線部分の面積は何cmですか」という問題を解く場合を考えてみましょう。次にすべきことは図2のように「斜線部分の四角形を2つの三角形に分けること」であり、具体的にいうと「2つの三角形にするために(なぜ・何のために?)、点Aと点Cを結ぶ(どのように?)補助線を(何を?)ひく」になります。

このような補助線をひけば、三角形ACFと三角形CAEの底辺と高さ(それぞれ、3cmと5cm、4cmと7cm)に気が付くでしょうから、あとは計算するだけになります。しかし、これらのヒントをすべて出してしまっては解き方を全部教えてしまったことになりますから、“どのヒントを出すか?”がポイントになります。



●よいヒントの出し方
よいヒントというのは、前述のように子どもの学力によって違ってきます。ヒントを与えることで次の手順に進め、しかも自分の頭を最大限に使って考えるようなものが望ましいヒントといえます。たとえば「補助線は使えないか?(何を?)」や「三角形にするために分けられないか(なぜ・何のために?)」などは適切なヒントといえるでしょう。これを「点Aと点Cを結んで2つの三角形をつくる」とすると、ヒントの出しすぎになる場合があります。しかし、まだ平面図形に慣れていないお子さまにはちょうどよいヒントかもしれません。

このように、そのお子さまにピッタリのヒントを出すのはなかなか難しいので、ヒントを小出しにしながら、どの程度のヒントがお子さまにちょうどよいか様子を見ていくとよいでしょう。なお、レベルとしては、「なぜ・何のために?」を単独で出すのがいちばん難しいヒントだと思います。それは、「なぜ・何のために?」をヒントとして与えることは、“解法の方向性”を示すことだからです。

●ヒントで学ぶ「解法の手順」
今回は「なぜ・何のために?」のヒント例として「三角形にするために」を出しましたが、この「三角形に分ける」というのは、平面図形で面積を求める時の一般的な解法方針の1つです。このようなヒントをタイムリーに出してもらえると、自分だけで問題を解く時も「三角形に分けてみよう」というように考えるようになります。知らず知らずのうちに、「解法の手順」を身に付けるようになるということです。

もちろん「なぜ・何のために?」をヒントとして出すには、ヒントを出すほうもある程度勉強しておく必要はありますが、やさしい入試問題レベルであればご家庭でも対応できると思います。よいヒントを出して、お子さまのヤル気と学力の向上をめざしてください。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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