点数主義から人物本位へ!? 入試制度改革で学校教育はどう変わる?
ポスト・センター試験として、2019(平成31)年から導入の可能性がある「達成度テスト」など、大学入試制度改革に注目が集まっている。「政府の教育再生実行会議がまとめた案は、いわば点数主義から人物本位の選抜への転換」と話す森上研究所の森上展安氏に、入試制度改革に伴う中高一貫校での教育の変化について伺った。
***
大学受験の一般入試では、記憶力・読解力・理解力・論理力などを試す学科試験が主流ですが、学科試験で試せるのは人間の能力の一部です。大学受験の推薦・AO入試では、海外大学や就職試験と同様、学科試験はほとんどなく、向上心・探究心・思いやりの心などの人間性と行動力・思考力・協調性などの社会人基礎力を含む人間力で評価させます。
海外大学入試と就職試験は、推薦・AO入試とほぼ同じ内容なのです。就職のエントリーシートは推薦・AO入試の履歴書で、どちらにも面接と小論文があり、受験者の人間性と社会人基礎力が評価されます。「在学中に一生懸命に取り組んだものがあるか?」「その取り組みでどのように自分の人間力を発揮したか?」「その人間力を生かし、海外大学・企業でどのようなことに取り組みたいか?」をエントリーシート(履歴書)・面接・小論文で表現することも同じです。海外大学・企業で、このような試験を実施するのは、海外大学・企業・社会に貢献できる人材を採用するためで、目的は国内大学でも同じです。選抜の目的が同じであれば、大学入試が海外大学や企業と同じ選抜方法となるのは合理的ではないでしょうか。
これまで、中高一貫校が受験生・保護者から支持されたのは、出口となる大学合格実績を向上させるための学習指導を重視したからでした。今後、難関大学や国公立大学でも推薦・AO入試のような選抜方法が多くなれば、学力を付けるだけでなく、その入試形態に対応するための「人間力の指導」を行う中高一貫校が増え、それらの学校を支持する受験生・保護者が増えるでしょう。