漢字をよく間違える[中学受験合格言コラム]

漢字をよくまちがえる

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


質問者

相談者:小5男子(性格:論理的・強気なタイプ)のお母さま


質問

漢字をよくまちがえます。正確に覚えていないから書けないのかなと思うのですが、同じまちがいをします。短期間でくり返しやれば完璧なくらいにできますが、数か月とか1年とか時間が経過するとまちがえたりします。


小泉先生のアドバイス

「何回も覚え直す」「関連付けて覚える」などの方法で忘れることを少しでも防ぐ。


お子さまは「短期間でくり返しやれば完璧なくらいにできます」ということですから、この時点では正確に覚えているのです。でも、まだ完全に覚える前の段階ですから、何もしなければ時がたつにつれて少しずつ覚えたものが消えていきます。数か月とか1年とか時間が経過すればうろ覚えになり、まちがえてしまうのも当然でしょう。どうすれば忘れないようになるかといえば、まずは、完全に覚えるまでくり返し覚え直すとか、覚えた漢字を日常的に使うことです。記憶を新たにするということが大切なのです。

覚えても使わないと、本当に忘れます。私事ですが、最近、漢字がすぐに出てこなくなりました。いわゆる“ボケの始まり?”なのかもしれませんが、それ以上に、コンピューターを使って原稿を作成するため、実際に文字を手で書く機会が大幅に減ったためと思われます。忘れてしまって「書けない漢字」が増えましたが、それでも「読める漢字」の数は変わっていないので、日常生活や仕事上ではまったく困りません。この原稿もコンピューターで書いていますから、ますます漢字が書けなくなってくると思います。そして、恐らくこの現象は、日本中の至るところで起きていると考えられます。全国的に語彙(ごい)力の低下が進行しているといえるのかもしれません。

さて、話が少し脇道にそれました。漢字を忘れにくくするためには、覚える時に「五感」を使うことが大切です。すなわち、「目でも見る」「手で書く」「声に出して読む」ことで、文字どおり体で覚え込むのです。これを面倒くさがると、覚えにくく忘れやすくなりますから、結果的には効率的ではありません。

また、何らかの「理由付け」や「関連付け」をしながら覚えるのも有効でしょう。たとえば、漢字の起源などを調べながら覚えていけば、かなり忘れにくくなると思います。「池」や「海」は、水に関係することですから部首が「さんずい」であることは忘れないでしょう。「いちいち調べるのは面倒だ」と思われるなら、機会がある時だけでもよいでしょう。「へー、そうなんだ」と感心して覚えた漢字は、そうそう忘れるものではありません。

あるいは、単文を作ることで忘れることを防止する方法もあります。たとえば、「損」「雑」という漢字を覚える時、「勉強を雑にするとあとで損をする。」などの単文を作ってみるのです。これも関連付けながら覚える方法です。人は忘れやすいので、何かに関連付けて覚えることが記憶のコツなのです。「語呂合わせ」などもそのひとつですね。「語呂合わせ」とは、数学のルートの値(√2 = 1.41421356… 一夜一夜に人見頃〔ひとよひとよにひとみごろ〕)や、社会の年号を覚える時にお世話になったものです。

さて、これだけいろいろな方法があるのですから、やはり他の皆さんも苦労しているのでしょう。1回覚えたのに、1年後に忘れることを嘆いてはいけないと思います。「何回も覚え直す」「日常的に使う」「五感を使う」「関連付けて覚える」などなど、さまざまな方法で忘れることを少しでも防ぎましょう。それでも忘れるのが人間なので、くり返し覚えるしかないのです。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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