学力を伸ばすのは、男子校か女子校か? それとも共学校か?[中学受験]

■学力を伸ばすのは、男子校か女子校か?それとも共学校か?

男子校または女子校と共学校のどちらのほうが大学受験に有利なのか。「学力を伸ばしてくれる学校」のグラフを使用すれば現状の優位性を調査することができる。同程度の中学入試偏差値でも、共学校は男子校に比べ、卒業時の大学合格実績は低いという印象はあるが、本当にそうなのか。また、女子校は共学校よりも大学合格実績は高いのか低いのか、その差はどの程度なのかが興味深い。

調査の方法としては、首都圏の中高一貫校に限定し、男子校・女子校・共学校の入学時の偏差値に対する標準的な大学合格実績を男子校・女子校・共学校を比較できるように、大学群ごとに、グラフ1(東大・京大・一橋大・東工大)、グラフ2(早大・慶大・上智大)、グラフ3(GMARCH[学習院大・明治大・青山大・立教大・中央大・法政大])を作成し、男子校・女子校・共学校のグラフの差異を分析した。

グラフ1


グラフ1は男子校・女子校・共学校における、標準的な学校の中学入試偏差値と6年後の東大・京大・一橋大・東工大合格実績の関係を示している。2007年中学入試の首都圏模試偏差値65の学校では、標準的な男子校では、卒業生100名当たり東大・京大・一橋大・東工大の延べ合格実績が14.9人、同じく女子校6.3人、同じく共学校8.2人であった。グラフの傾向は、すべての偏差値(偏差値55でもわずかに共学校が女子校よりも多い)上で、延べ合格実績は男子校・共学校・女子校の順に多かった。東大・京大・一橋大・東工大の大学受験では、同じ偏差値の学校を比べると男子校は共学校よりも優位にあるといえる。また、女子校と共学校を比較すると、偏差値が高くなればなるほど共学校のほうが優位にあるといえる。

しかし、ここで問題なのは、共学校の合格実績は、男子と女子に分けて公表することはないのでどれだけ男子または女子が出した実績なのかがわからないことである。これは推測だが、東大・京大・一橋大・東工大等の大学では、早慶上智などと比べて浪人生の割合が高い。
ちなみに男子は浪人をする割合が女子よりも高いということを考えると、共学校で男子が東大・京大・一橋大・東工大の合格実績を上げている可能性が高くなる。男子は浪人をする割合が女子よりも高い。従って共学校では、男子が東大・京大・一橋大・東工大の合格実績を上げている可能性は高くなる。

グラフ2


グラフ3



同様に、グラフ2は早大・慶大・上智大合格実績の関係を、グラフ3はGMARCH合格実績の関係を示している。グラフの解説はスペースの都合で省くが、それぞれのグラフを見ると、男子校・女子校・共学校の優位性は、大学群と学校の偏差値によって変わることがわかる。つまり早大・慶大・上智大実績でいえば偏差値60を境に男子校より女子校+共学校が優位になり、GMARCHでいえば偏差値46を境に共学校より女子校が優位になる。

つまりこれでいえることは、進学目標とする大学によって、学校種別の強みがあり、学校選択の一つのメルクマール(指標)にできるだろう、ということだ。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

子育て・教育Q&A