志望校の中高クラス編成を確認する[中学受験]

■志望校の中高クラス編成を確認する

中高一貫校とひと口に言っても、高校からの入学者のない完全中高一貫校と高校で生徒募集を行う中高併設型とでは、入学後のクラス編成が違う。後者の場合、完全混合クラス、3年間別クラス、その他に分類できる。完全混合クラスは、中学と高校から入学した生徒を高校1年から混合するクラス編成となる。3年間別クラスは、中学と高校から入学した生徒を高校3年間別クラスとするクラス編成となる。また、その他は、完全混合クラスと3年間別クラスの中間的なクラス編成が多い。

学校によって、クラス編成には意図がある。受験指導に重点を置く場合は、完全中高一貫校は先取り学習などのカリキュラムを組むことができるメリットがある。一方、高校からの生徒募集を行うことで、中学で入学した生徒と、高校から入学した生徒が刺激し合い切磋琢磨(せっさたくま)させるメリットがある。しかし、中学で先取り学習をしていた場合は、高校からの入学者は3年間別クラス編成にするか、その他のクラス編成にすべきだろう。

その他の例では、高1の時のみ別クラスとして高校から入学してきた生徒が中学から入学した生徒に学習面で追い付けるように調整し、高2・高3は混合クラスとして互いに刺激し合えるようにする中間的なクラス編成で両者のメリットを得られる。



<表1><表2>から、完全中高一貫校は東京・神奈川・千葉・埼玉の中高一貫校256校中84校で、約33%を占めている。高校で生徒募集を行う学校は、完全中高一貫校の約2倍もある。
<表2>の合計を見ると完全中高一貫校が33%で最も多いが、完全混合クラス、3年間別クラス、その他も少なくはない。この表では、学校種別(男子校・女子校・共学校)ごとに、クラス編成(完全中高一貫校・完全混合クラス・3年間別クラス・その他)の割合がわかる。男子校では、完全中高一貫校(40%)が最も多く、完全混合クラス(13%)が最も少ない。男子校は、受験に有利な完全中高一貫校が多い。女子校でも完全中高一貫校(57%)が最も多く、3年間別クラス(6%)が最も少なかった。女子校の場合は、受験に有利かどうかだけではないようだ。3年間別クラスも受験には有利なはずだが極端に少なく、受験に不利と思われる完全混合クラスが22%も占めている。

共学校では、その他(36%)が最も多く、完全中高一貫校(12%)が最も少ない。<表3>では、中高でのクラス編成ごとに、学校種別の割合がわかる。共学校は学校数が多いので、どうしても割合は高くなるが、こと完全中高一貫校に関しては最も少ないのが共学校(18%)となる。<表2><表3>から共学校は完全中高一貫校が少なく、男子校と女子校は多い傾向がある。共学校は高校募集を行うことが多く、クラス編成は完全混合クラス・3年間別クラス・その他に分かれ、多様化している。

どんな生徒がどのタイプに向いているか、ということになるが、率直にいって生徒自身はどのような状況にも順応する。

ただし、年齢と共に保護者の影響力は薄れる一方で、学校の生徒文化の影響力が強まる。一貫度が高ければ学習はしやすい。混合型では後発組(途中からの入学者)にキャッチアップの負荷がかかるが、先発組にはよい刺激を与える。

キャッチアップの負荷は、むしろ保護者に代わって学習の動機付けになるものだ。そういう意味では、早熟タイプには一貫型が主流を占める学校が望ましいといえるだろうし、遅咲きタイプでは後発型が多勢を占める学校が望ましい、といえよう。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

子育て・教育Q&A