9月からの受験生活 我が子の将来、大胆に発想[高校受験]

9月に入るとほとんどの中学3年生が部活からも引退し、受験勉強に本格的に取り組み始めます。ようやく受験生としての自覚も芽生えてくる時期かと思います。今月は、大事な9月をどう過ごせばいいのかについてお話ししましょう。



■我が子の将来、大胆に発想

 9月の話題に入る前に、お話しした「夏休みに、子育てについて考えよう」についてひとつ付け加えたいと思います。


7月末、「台湾留学サポートセンター」が主催するツアーに参加し、台湾の国私立、計8大学を見学してきました。夏季休暇中にもかかわらず、各大学では学長や国際センター長が対応してくれました。各大学でのプレゼンテーションを聞いて感じたことは、日本の大学よりはるかにグローバル化が進展しているということでした。


台湾の人は、世界的に見れば台湾は小さな存在であるということを自覚しています。「発展し続けていなければ存続も危うい」……そうした緊張感があるように感じました。だからでしょうか、学生は積極的に海外に出て行っているし、政府は国に活力を生むために海外から人材を積極的に呼び込む政策を採っています。留学生についていえば、学費免除の制度がとても充実していました。留学生の出身地は、マレーシア、ベトナムなどのアジアやアメリカが多いのですが、大学によってはロシア、ハンガリーも多く、予想以上に世界中から人が集まっていました。


どの大学でも、皆さん流暢(りゅうちょう)に英語を話しますし、DVDで流された設備も最先端でした。私が抱いていた台湾のイメージが大きく覆りました。海外に出なければ気が付かない現実です。


台湾の状況以上に驚いたのは、このツアーに20組以上の中高生の親子が参加していたことです。それも、中堅校の生徒が多いのです。首都圏や関西圏ばかりではなく、地方の生徒もいました。海外留学というと、大都市圏のひと握りの進学校の話題とばかり思い込んでいましたから、ビックリしました。普通に国内の大学に進んでも就活で苦労する、正社員になれる保証はない、このまま行ってもあまり展望が開けそうにない。それだったら、中国語と英語とITスキルを身に付けたほうが、よほど活躍の場が広がるだろう……そんなふうに考えて参加しているのです。


8月に私がお話しした、「長いスパンでの子育て」、「肉体的にも精神的にもタフに育てる」を実行に移そうとしている親子が大勢目の前にいたことに感激しました。

海外留学はそう簡単ではないと思いますが、このツアーの参加者のように大胆な発想をすることも、案外ありではないかと思います。ぜひ参考にしていただければと思います。



プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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