夏休みに、子育てを考えよう! 我が子を会社の「タダ乗り社員」にしないために[高校受験]

 夏休み、お子さまと共に過ごす時間が増えるご家庭も多いでしょう。こうした時間のある夏休みは、来年の合格のことだけではなく、長いスパンでの子育てについて考えるいい機会だと思います。最近私自身が経験したことをもとに、親として心がけたいことをお話ししようと思います。



■我が子を会社の「タダ乗り社員」にしないために

 まだ一般的ではありませんが、企業社会では「ネガティブな発言ばかりして、新しい仕事、難しい仕事に手を出そうとしない社員」、「トップの話をそのまま部下に伝えるだけで、付加価値を生まない中間管理職」……などを「フリーライダー(無賃乗車、タダ乗りする人)」と呼ぶことがあります。しかし、最近この言葉の別の使い方に出くわしました。

 東京・青山にある国際連合大学内の施設で、「幸福度世界一の子ども達を育てるフューチャーセッション」というものが開かれました。この企画のコーディネーターが知り合いだったので、私も参加しました。
第1部がデンマークの教育についてのパネルディスカッションで、第2部はワークショップ。5人くらいのグループに分かれて「幸福度が高いとはどういう状態なのか」というテーマについて話し合いました。

 一般的に、初対面同士だと、進行役そのものが譲り合ってなかなか決まらないし、指名されてから初めて意見を言う人が多いものです。ところが今回は、「私がリーダー役やります」と、そうそうに立候補する女性がいたり、参加者全員(3分の2は女性でした)から積極的に意見が出てきました。
ワークショップ後、失礼ながら「皆さんよくしゃべりますね」と感想を述べたところ、一人の女性から「私は海外生活が長かったのですが、海外ではこうした場で自分の意見を言わなければ、『フリーライダー(無賃乗車)』と言われて、次の会に呼んでもらえません」と言われてしまいました。

 これから「グローバル社会」に巣立っていく子どもたちには、「フリーライダー」と言われないためにも、自分の頭で考え、それを積極的に発言するクセをつけてもらいたいものです。

 子どもがそうなるためには、今から普段の生活の中で何事も親が決めてしまうのではなく、「あなたはどう思うの?」「あなたの意見を聞かせて」……とする姿勢が大切ではないでしょうか。



プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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