記号問題で、間違った選択肢を選ぶことが気になっています[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

相談者:小6女子(性格:大ざっぱ・論理的タイプ)のお母さま


質問

スピードを重視するあまり、文章を深く読み込まず、短絡的に答えを選ぶことがあり、記号問題で、間違った選択肢を選ぶことが気になっています。


小泉先生のアドバイス

問題文というよりも、選択肢の精密な読みが不足している可能性が高い。

「文章を深く読み込まず」とは、問題文をしっかり読んでいないということであり、「記号問題で落とす」とは、選択肢問題を間違えるということでしょうか。そうであれば、選択肢問題のどこでつまずいているのかをまず調べる必要があります。単に正しい選択肢を選べなかったというのではなく、どのような誤った選択肢を選ぶことが多いのかをチェックしてみましょう。

それには、選択肢がどのようにつくられているのかを知る必要があります。もちろん、選択肢はそれをつくる先生や出題する学校により、特徴や難易度が違ってきます。非常にわかりやすいものもあれば、紛らわしいものもあります。また、選択肢が非常に長文で、正解を選ぶのに骨が折れるものもあるでしょう。このように選択肢のつくり方はいろいろですが、一例として、次のような選択肢がよく出題されます。


(ア) 正解の選択肢。ただし、本文の表現をかなり言い換えてある
(イ) 本文の表現は使っているが、本文の内容とは微妙に違えて誤りの選択肢にしてある
(ウ) 本文の内容に限定を付ける(「~だけ」など)ことで、誤りの選択肢にしてある
(エ) 本文の内容に反することを書くことで、誤りの選択肢にしてある
(オ) 本文の内容と無関係なことを書くことで、誤りの選択肢にしてある


ここで、選ぶべき正解の選択肢はもちろん(ア)で、それ以外の選択肢を選んだ場合は×になります。しかし、同じ×でも意味がかなり違ってきます。

まず、(エ)や(オ)を選んだ人は、問題文の内容がよく読めていない可能性があります。(ウ)を選んだ人は、限定をつけることで意味が違ってくることを十分に理解していません。「限定」をつけて誤りにしてある選択肢はよく出てきますから、しっかり勉強しておきましょう。(イ)を選んだ人は、選択肢を読む時の「精密さ」が足りないと考えられます。また、(ア)を選んだ場合でも、たまたま正解を選んだ可能性があります。なぜ、(ア)を選んだのか、他の選択肢はなぜダメなのかがしっかり言えるようでなければ安心してはいけません。

以上のような視点で正しい選択肢を選ぶのが、「選択肢の消去法」と呼ばれる手法です。名前は知っているし、やり方もわかっているつもりですが、しっかりやれている子どもはそんなに多くはないようです。また、選んだ選択肢に注目することで、(1)本文の読みが足りない、(2)「消去法」をよくわかっていない、(3)最後の2択から正解を選ぶ時の選択肢の精密な読みが不足している、などがわかります。そして、それによって選択肢問題の苦手を克服することが可能になります。

さて、お子さまのケースですが、「記号問題を落とすのが気になる」ということは「記述問題ではとれている」と想像します。もしそうであれば、「大ざっぱ」な性格ということもありますから、問題文を深く読み込んでいないというよりも、前述の(3)でつまずいている可能性が高いと考えられます。
その場合は、最後の2択から正解を選ぶ時に、より精密に選択肢を読むように心がけるとよいでしょう。また、不正解の場合は、どのような表現で自分は間違えたのかを確認してみましょう。このように選択肢問題に取り組んでいくと、徐々に正答率が上がってくると思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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