東京大学教授に聞く! 地球の水循環をグローバルに研究する「水文学(すいもんがく)」とは?
日本の換期を迎えた今、大学も大きく変わりつつある。子どもの興味のある分野を生かしながら、どのようなことを学べば、将来が明るく照らされるのだろうか? 生活と切っても切れない水研究を進めている、東京大学の沖大幹教授の研究室を訪ねた。
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●具体的に、どんな研究をしているのでしょうか?
研究室は、東京大学の生産技術研究所にあります。「土木工学」という言葉が聞き慣れないと思いますが、電気、水、道路、鉄道と社会基盤として欠かせない部分を担っているのです。その中でも「水文学(すいもんがく)」とよばれる、水に関わるダイナミックな研究が研究室の専門分野です。
●「水文学」で行う研究とは、どのようなものですか?
水に関する社会基盤は様々で、多岐に渡ります。たとえばタイの洪水を予測する研究プロジェクト、衛星観測によって雨の世界地図をつくる研究、サンゴや鍾乳洞(しょうにゅうどう)に記録された水の安定同位体比の情報から古気候を推定する研究など、学生が興味を持った課題に取り組んでいます。先輩の研究成果も生かしながら、自然と人間の活動をグローバルに見る研究をしています。
●将来的にはどのような場面で生かされます?
研究が具体的な技術として、鉄道や未水道、道路といった生活ラインで生かされるニーズは多く、社会基盤として、市民の生活に幅広く貢献する学問です。水災害の防止や高度成長期の都市の河川の再生など、研究の成果は日本だけではなく、広く海外でも生かされています。