どんどん短縮される夏休みに対応するために[こんな夏休み後半を過ごしてみては? 第1回]

 お子さまの2学期はいつからでしょうか。以前、北海道や東北地方では8月20日ぐらいから2学期が始まっていましたが、最近は他の地方でも9月を待たずに2学期に入るところが増えています。



どんどん短縮される夏休みに対応するために

●夏休み短縮は保護者の要望?
 このところ、公立中学校でも夏休みが短くなる傾向がみられます。東京都でも葛飾区、板橋区、新宿区、豊島区などでは夏休みを5日間ほど短縮して8月31日以前に授業を始めています。
 新しい学習指導要領の実施で学習量が大幅に増えていることから、授業時間数を確保するために夏休みを短縮しているのです。
 公立中学校に限らず、私立中学校でも同様です。先日お会いした、ある私立中学校の校長先生がこんなことを言っていました。「今年度から2学期を8月25日に始めることにしました」
 「暑い夏に登校しても、それほど効果はあがらないのではないですか」とたずねると、「そうなのですが、保護者のかたが、家にいても勉強しないから早く始めてほしい、と言ってくるんですよ」というお返事でした。2学期を早めたことは、保護者のかたの要望だそうです。
 本来、我が国の夏休みには、

・蒸し暑い我が国の気象条件に合わせて、成長段階にある子どもたちの体を考えて休養を取らせる
という側面と同時に、
・ふだんの生活とは異なる体験をする格好の機会

 このふたつの側面があります。後者の側面を生かさないで、ふだんと同じ授業の時間を長くすることはもったいないと思います(後者については次回以降でお話しします)。

●学習法を体得する
 そうはいっても夏休み期間は自治体が決めることなので、ご家庭ではどうしようもありません。また、お子さまが受験生だとまったく勉強と離れたことはやりにくいでしょう。そこで、「学習法体得」という目標を立ててはいかがでしょうか。
 夏期講習がある時期には、講習に全力投球するのが鉄則です。翌日の講習内容に合わせて予習を各教科30分ずつ必ず行うようにアドバイスしてください(同一教科が2時限あったら60分)。帰宅後は同様な目安で復習も必ず行わせるようにしてください。勉強時間の面ではかなりハードになりますが、何をどこまでするのかが明確になるので、案外進めやすいものです。これを講習期間中毎日続ければ、予復習の習慣が身に付きます。
 こうした夏休みのような機会でもなければ、今のお子さまは予習などまずしないことが多いのです。講習内容の理解を助けるだけでなく、2学期もこの習慣を継続することが目的です。また、予復習は授業を聞くという受け身の姿勢から、自分で能動的にテキストに向かうという姿勢もつくる面もあり、重要です。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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