家庭学習の比重が増す[今年は中学校が大きく変わる年 第2回]
授業のスピードアップは間違いなし
授業時間が週1時間しか増えていない中で、学習する内容は大幅に増えるのですから、当然1授業時間内に学ぶ内容はこれまでより1割も2割も増えます。教科書も厚く詳しくなっていますから、どんどん授業を進めないと消化しきれません。
そのうえ、新しい学習指導要領では、先生が教えるだけでなく、「生徒同士で意見を述べ合う」「自分の考えを発表する」「レポートを書く」「観察・実験を重視する」といった学びの方法自体が重視されています。これらはちゃんとやろうとすると、ものすごく時間を取られるものです。
この両面から、消化不良になるのではないかと心配されているのです。
宿題を丁寧にやることがその後に大きく影響
授業でやりきれなかった部分が宿題として家庭学習にゆだねられる、そうした可能性が十分考えられます。また、理解が早い生徒と理解できないまま取り残される生徒の差がこれまで以上に拡大する可能性もあります。
ですから、4月から授業は集中して聴くことをお子さまに言い聞かせてください。同時に、家では予復習ができているか、宿題はきちんと丁寧にやっているか、当分の間お子さまとともに毎日の授業を振り返ることをしていただきたいと思います。
この時期に「自学自習」できる能力が付くかどうかが、これまで以上にお子さまの成績、ひいては生涯の勉強に大きく影響すると考えてください。
勉強は軌道に乗ればあとはわりとスムーズに行くものです。最初が肝心です。保護者のかたも忙しいでしょうが、4月、5月くらいはお子さまを見ていただけると、あとが楽になると思います。
「思考力・判断力・表現力」が重視される
先に「新しい学習指導要領では、生徒同士で意見を述べ合う……」ということを述べましたが、たくさんの知識を得てそれらを理解できるようにするだけではなく、得たものを活用する力を付けるということが大きな狙いとしてあります。活用力の具体的な能力として掲げているのが、「思考力・判断力・表現力」です。自分で考え、自分で判断し、自分の意見を言う、自分の考えを書く……そうした能力を育てようとしているわけです。
そうした能力は、机に向かっていくら問題集をやっても育ちません。こうした点からも保護者のかたが関わる必要がこれまで以上にあるわけです。
多くの保護者のかたは、「これとこれどっちにする?」「〇〇はしておいてあげたわよ」「こうしたらどうかしら」・・・・・・など、お子さまが〇か×で答えればいいような話し方をしていませんか? 何事もお子さまの先回りしてやってしまったりしていませんか? お子さま自身が考え、判断する機会を奪っていませんか?
こうした力は普段の生活から変えていかなければなかなか身に付くものではありません。特に男のお子さまの場合は、ハッキリせず、イライラすることが多いかと思いますが、グッと我慢してください。
保護者のかたの「待つ」姿勢がお子さまにこうした能力を付ける必要条件なのです。