出願から入試までの過ごし方 入試前、不安を抱いている子どもへの対処のしかた[高校受験]

入試を控える子どもへの接し方

入試が近づいてくると少なからずお子さまは不安やプレッシャーを感じています。第一志望校の入試となればなおさらではないでしょうか。そこで、入試前に不安を抱いているお子さまへの対処法をご紹介いたします。

■この時期 心の中は不安でいっぱい

見かけはのんきにしているようでも、この時期お子さまはすごくプレッシャーを感じているものです。保護者としては、どんな態度で接すればいいのでしょうか。
直近の模試で、「第一志望校の合格の可能性は50%以下」という厳しい現実を突き付けられたお子さまもいるでしょう。そうでなくても、受験生活が長くなっていますから、どうしても体力的にも、精神的にも疲れがたまっています。
そうした時に、思うように成績が伸びない、目標にしてきた志望校に届かないという現実が追い打ちをかけ、お子さまの気持ちがいま一つ前を向かないということがあります。なんとなく落ち込んでいる時は、保護者からは本気になっていないように見えても、心の中は不安でいっぱいなのです。このプレッシャーにつぶされず、その不安を勉強することで克服し、集中力や緊張感につなげられれば、合格に近付きます。

保護者のかたもこれまで一生懸命やってきただけに、また、もう残すところわずかな時間しかないという現実から、「ここでがんばらなくてどうするの?」と焦って、子どもの心理状態にまで神経が回らず、「こんな成績だなんて、今まで何をやっていたの!」「もう時間がないのだから、休んでいる暇はないのよ」……と、毎日叱咤(しった)激励の言葉しか出てこなくなるものです。

■気持ちを前向きにすることだけを考える

この時期、お子さまの姿を目の前にしていると言いたいことは山ほど出てくるでしょう。でもここで保護者のかたに一番にしてほしいことはじっと我慢することです。これからの時期、保護者のかたに口にしてほしい言葉は、「やる気がないんだったら受験やめたら……」「○○の部分がまだ不得意なまま残っているわね」「ここを克服しないと××高校にはとても届かないわよ」……と、気が付いたことをストレートに指摘する言葉ではありません。
そうではなく、「××高校、あなたにピッタリだと思うわ」「○○の部分、もう1回やってみようか」「国語であと5点、数学であと5点、英語であと5点取れれば、××高校にも十分届くわよ」……といった、お子さまの気持ちが前向きになるような言葉、言い方です。

ここまできたら、やることはやったと開き直って、ネガティブなことは一切言わず、お子さまの気持ちを前向きにすることだけを考えてください。本番を控えて不安になっているお子さまには、言葉かけの違いが大きく作用するものです。もちろんそのためにも保護者自身が明るく振る舞うことが大切です。
それと、お子さまはもちろんですが、家族の健康管理に万全の手を打ってください。家族みんなが人出の多いところには出ないなど、協力しましょう。家族が元気で、家の中が明るいこと。これも合格の必須条件です。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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