図形が苦手で、考えても考えても答えが出ません[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小4女子(性格:論理的・弱気タイプ)のお母さま
質問
図形が苦手で、家では、豆腐を切って断面図を示したりするのですが、その場ではわかったように振る舞っていても、実際の問題になると応用が利かないようで、考えても考えても答えが出ません。一言で言うと数学的なセンスに欠けているように思います。
小泉先生のアドバイス
解き方の勉強や問題演習量が足りない可能性があります。
立体図形の断面図が苦手な子どもは多いようです。以前に比べて≪切る≫という体験をすることが少なくなってきたせいかもしれません。体験していないのですから、それを平面上でイメージするのはなかなか難しいものです。と言うことで、豆腐などをいろいろに切って、その断面を見てみることは経験を積ませる方法として、とても有効だと思います。しかし、「問題になると応用が利かない」「考えても考えても答えが出ない」というのは、なぜなのでしょうか。
一つの可能性としては、切断の方法を知らない、あるいは理解していないのかもしれません。たとえば≪立体の切断≫は、次の3原則を守れば、必ず上手に切れます。
(1)同一平面上の点は結ぶ。
(2)平行な面の切り口は平行な線になる。
(3)面を拡張する(広げる)。
以下に手順を示しました。赤い部分が断面図になります。
【問題】 |
【手順1】 | 【手順2】 |
(1)PとQを結ぶ。 | (1)IPの延長線と辺DHの交点をS、辺EHの延長線の交点をKとする。 |
【手順3】 | <完成(正解)> |
(1)JKと辺FG、辺GHの交点をT、Uとする。 |
以上が、切断の問題を解くための手順ですが、この方法を知識として知らないと解けない問題も多いでしょう。このように、図形の問題を解くためには、(1)図形をイメージできるようにする、(2)解くための方法を勉強する、(3)問題数をこなすの3つが必要です。「イメージ」できるようにするには、「豆腐を切る」とか「展開図を組み立ててみる」など、実物で体験することです。「解くための方法」は参考書や塾で勉強します。これを知らないと解くのが難しい問題もあるでしょう。そして、類題や応用問題を演習していくのです。
算数の実力は、解いて理解した問題数に比例します。お子さまは、上記のうちの(2)か(3)、あるいは両方が足りない可能性があります。多くのお子さまは、これら(1)、(2)、(3)をしっかりやれば、偏差値55位までにはなると思います。