繰り上げ合格の可能性はあるか?[中学受験]
今回は、繰り上げ合格について、次のような質問がありました。
(質問)
第1志望の私立中学校には不合格でしたが、繰り上げ合格候補者になったことがあとから郵送されてきました。第2志望の私立中学校からは合格をいただきましたが、そこで問題が発生しました。
繰り上げ合格の連絡は、2月6日から2月26日までの間に電話で行うそうです。しかし、第2志望の学校の諸経費納入期限が2月7日で、2月8日には入学生の招集があるのです。もし、2月7日に繰り上げ合格の連絡がなければ、第2志望の学校に諸経費を納入する覚悟はできていますが、召集日には制服採寸や入学に関する書類の提出が求められているのです。
この場合どうすればよいのでしょうか? 娘は、どうしても第1志望の学校に入学したいと考えているみたいですが、繰り上げ合格というのはあてになるのでしょうか?
(回答)
繰り上げ合格とは、複数の学校に合格した生徒の一部が予想以上に他校に流れた場合、生徒募集定員を埋めるために追加で合格者を出す合格のことです。最近は、繰り上げ合格が急激に増えています。というのも、不況の影響などで、私立中学受験生が減少しており、それを不安に思う学校側が多少多めの合格者を発表するからです。その結果、複数の学校に合格する生徒が多くなり、例年であれば発表後に他校に抜けていく生徒の数はほぼ一定の割合ですが、最近は抜けていく生徒が予想以上に多くなっています。入試難易度の高い学校でも、その学校よりも上位の学校で繰り上げ合格を出せば自校の合格者がそちらに行ってしまうので、自分たちも繰り上げ合格を出して定員を埋める可能性があります。生徒は難易度のより高い学校に進路を決める傾向があり、難易度が低い学校になればなるほど繰り上げ合格で他校に抜けていくため、多くの繰り上げ合格を出す傾向があります。
今回の質問では、「繰り上げ合格候補者になった」わけで、まだ、繰り上げ合格できると決まったわけではありません。繰り上げ合格でも合格通知があれば正規の合格と同じですが、繰り上げ合格となるかどうかはわかりません。「あてになるか?」という質問ですが、難易度が低い学校であればあるほど繰り上げ合格になる確率は高いと思います。また、第2志望の学校の召集日に欠席すると、事情によっては合格を取り消される学校もあるので、第1志望の繰り上げ合格が正式に通知されるまでは、第2志望の学校に進学するつもりで準備すべきでしょう。
現実には、繰り上げ合格の通知が遅くなればなるほど、第1志望の学校でも進学する確率は低くなっているようです。学費の問題だけではなく、一度、進学しようと決めた併願校に愛着がわくことも大きいようです。また、繰り上げ合格ということは、入試で最も下の成績であったということになります。子どもによっては、わだかまりを持って入学する子もいます。第1志望の学校としてあこがれていたのに、裏切られたような気持ちになり、繰り上げ合格の通知があっても子どもが冷めてしまっていることがあるのです。