受験校決定のポイント 高校入試の多様なシステムをどう利用する?[高校受験]

■公立高校のみ受験は「安全」が第一

ここ1、2年、経済的な事情から、公立高校しか受験しないという受験パターンが全国的にも増えています。全日制の公立高校に合格がかなわなかった場合にも、全日制の私立高校でなく、定時制の公立高校に進んでいるケースが増えているのです。
ですから公立1本という受験の場合は、確実なところを選ばなければなりません。事前にある程度の予測がつく調査書の成績面から、ほぼ大丈夫そうなところを選ぶようにしてください。



■併願に公立高校を受験する場合は、学校独自問題校を選ぶ

公立高校が第一志望で、私立高校は併願先として受験するというケースが多いでしょうが、なかには難関私立高校や有名私立大学附属高校、国立大学附属高校などが第一志望という受験生もいるでしょう。この場合は公立高校が併願校になるわけですが、入試問題自体も難度の高い学校をめざして勉強してきたわけですから、ご自分の都道府県に学校独自問題(自校作成問題)で入試を行っている高校があるなら、そのような高校を選べば、これまでの受験勉強が生かされるでしょう。



■学校独自問題校か、共通問題校か

学校独自問題(自校作成問題)校ですが、概して難易度の高い高校ほどこのような問題で入試を行っているケースが多くなっています。注意していただきたいのは、合格最低点が低くても、それは入試問題が難しいからで、決して入学しやすいというわけではありません。
お子さまが発展・応用中心のハイレベル問題でも得点できているなら問題はないのですが、基本問題はよくできるが、発展・応用問題になるととたんに得点できないというのであれば、ここは考える必要が出てきます。
学校独自問題(自校作成問題)校に挑戦するよりは、共通問題で入試を行っている学校の中から難易度の高い高校を選んだほうが、合格の可能性はずっと高くなります。



■入試には「隔年現象」がつきもの

毎年入試状況を追いかけていると、顕著な傾向があることがわかります。前年志望者が多く倍率が高かった高校は敬遠され、翌年には下がるということです。ですので、ご家庭としてはこの逆を考えればいいのです。前年度倍率が高かったことを心配せず、そのような高校ほど今年度はねらい目になると判断しましょう。ただし、毎年人気があり、常に高倍率という高校もあるので、そのような高校は狭き門であることに変わりはありません。



■入試問題にも「隔年現象」がある

実は、入試問題にも「隔年現象」があるのです。どういうことかと言えば、公立高校の入試問題は平均点が60%程度になることを目標に作問されているため、前年度平均点が50%を切ったような教科は、問題をより易しくしますし、逆に70%近くになった教科は難しくします。
このような原則を考えれば、前年度易しかった教科は少し手ごたえのある問題の練習をしておいたほうがいいということになります。

以上、4回にわたって、どの入試システムで受験するかということと、受験校決定のポイントについて述べてきました。どうしてもテクニック的な話が多くなってしまいますが、大切なことは言うまでもなく、入学先が本人にとってふさわしい学校であるかどうかです。そのことは忘れないで決めていただきたいと思います。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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