選択肢の内容を考えすぎて間違うようです[中学受験合格言コラム]

「選択肢の内容を考えすぎて間違うようです」

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


質問者

相談者:小4女子のお母さま


質問

国語の中で詩は得意なようですが、時折、説明文が苦手です。特に選択肢は苦手で、間違い直しをしても間違い続けます。内容がどうこうというよりも、選択肢の内容を考えすぎて間違うようです。


小泉先生のアドバイス

女子学院を突破するためには、「考えすぎて……」という解き方を直す必要があります

選択肢の間違え方には2通りあります。1つは、消去法で2択に絞ったのは良いのですが、その時点ですでに正しい選択肢を消去してしまっているケースです。2つ目は、2択に絞った中に正しい選択肢は入っているのですが、なぜか最終的には正しくないほうを選んでしまうケースです。前者の場合は、本文の読みの不足などが原因でしょう。また後者の場合は、選択肢を吟味する際の精密さの不足などが考えられます。お子さまの場合は、「大ざっぱ」という性格から推測して、後者の「精密さの不足」に原因があるかもしれません。また、ご質問の文章に「選択肢の内容を考え過ぎて間違う」とありますが、あれこれ迷うのは、論理的に考えられていないためとも思えます。そして、お子さまの志望校の一つである女子学院を突破するためには、この「考えすぎて……」という解き方を直す必要があります。

女子学院は毎年、読解問題が3つと漢字の書き取りの独立問題が1つ出題されます。問題文は短いものですが、40分という試験時間に比べて問いの数が圧倒的に多いのが特徴です。例年30問を超える問題数が出題されますが、今年も34問でした。内訳としては、記述問題8、選択肢問題15、抜き出し問題2、知識問題4、その他5で知識問題の中には漢字の書き取りが入ります。問題文はそれほど難解なものはなく、女子学院の偏差値に比べたら読みやすいと言えます。また、問題自体も難解なものは少なく、結果として高得点争いになる試験です。

このような試験でポイントになることは、1つの問題に引っ掛かって時間をロスしないことでしょう。一つひとつは取り組みやすい問題ですが、時々出てくる難問にこだわり過ぎて時間が足りなくなる生徒さんがいます。特に抜き出し問題は、探すべきものが大体想像できても、本文に混じって抜き出すべきものを見失うことが少なくありません。一度見失うと、何度同じ所を読んでも見落としてしまいがちになります。その結果、本来であれば答えられた問題も時間がなくなり得点できなくなってしまうのです。女子学院の記述問題も、それほど複雑なものが少ないため書きやすく、みすみす落とすわけにはいきません。バランス良く、テキパキと、リズミカルに答案を仕上げる必要があります。
また、短いとは言え3題も問題文がありますから、速く読むことも大切です。試験時間が40分で34問ということは、たとえば、問題文3つを12分で読んだとして、残り28分で34問解答することになります。なんと、1問につき約50秒で答えなければなりません。ドンドン、バリバリと、機関銃のように問題を解くことが求められる試験です。作業をテキパキとこなす能力が試される試験と言えます。

このような試験に対応するためには、問題文を素早く読む力や、問題をどんどん解いていく力が必要です。決められた時間内に、いかに最大の力を出しきるかが問われますから、こだわっている時間はありません。優れた決断力や判断力を養う必要があります。このような試験に慣れるには1年間は必要と思いますが、性格的にのんびりしている生徒さんであれば、もっと長い期間の訓練が必要になる場合もあります。お子さまはまだ4年生ですが、6年生になってあわてないように、「時間配分を考えてテストを受ける」など、いまから少しずつ対策を講じていくことをおすすめします。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

子育て・教育Q&A